リクエスト小説
□miss
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急いで光の守護聖の執務室までやって来たリュミエール。
扉をノックすると、中からジュリアスの促す声で中に入る。
「失礼致します、ジュリアス様。ルヴァ様から、先程の書類をお預かりして参りました」
「ああ、リュミエール、ご苦労だったな。そなたにこのような雑用を頼んでしまって、すまぬな…」
「いいえ…、わたくしでお役にたつのであれば、それで…」
リュミエールは静かな微笑みを湛えながら、ジュリアスに書類を手渡すと、一礼して執務室を後にしようとする。
「…ああ、そういえば、オスカーが…」
ピク、とジュリアスの発した言葉に反応するリュミエール(笑)。
「…オスカーが、どうかしましたか、ジュリアス様…」
「具合が悪そうだったが…大丈夫なのか?」
「あ…ええ、今朝少し調子が悪いと申しておりました。風邪をひいたのではないかと…わたくしも心配しておりましたが…」
「そうか…。もう今日は、オスカーの執務はそう残っておらぬだろう。…リュミエール、そなた…オスカーを送り届けてやってはもらえぬか?」
「…え、は…はい…。あの…よろしいのですか?」
「ああ、構わぬ。早いうちに休養した方が良いだろう。それから…」
「はい?」
「そのまま、そなたが看病してやったらどうだ?」
「え…////ジュ…ジュリアス様?!」
「ここのところ、オスカーはあちこちに視察に行っていた故…疲れは勿論の事…」
「………?」
「そなたと会えぬ時間が堪えたのではないかと…思ってな…?」
楽しそうに、そして少しからかいが混じったジュリアスの表情に、さすがのリュミエールも唖然としている。
「…ジュリアス様がそんな事を仰るなんて…意外、ですね…?」
「…そうか?」
「ええ…でも、そちらのジュリアス様も…わたくし、大変そそられますけれど、ね…?」
不意にリュミエールが意味深な言葉と共に…それは妖しい色気を孕んだ流し目をジュリアスに向けたものだから…。
ジュリアスも、先程の余裕は吹っ飛び…一瞬怯んでしまった。
「リュ…ミエー…ル?!」
「ふふ…冗談です。では、お言葉に甘えさせて頂きますね?」
「あ…ああ、そうすると良い…」
「これからクラヴィス様の所へ伺ってから…オスカーを迎えに参りますので」
「わかった、ではそのように」
リュミエールは再びジュリアスに一礼すると、光の守護聖の執務室を後にした。
「…アレは本当にリュミエールなのか?………余計な事は言わぬが良かったな…」
ジュリアスは溜め息と共に、漸く息をつけたのだった…。
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