リクエスト小説
□欲しかったものは。
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そして、視察の星へ移動中のオスカーとマルセル。
「………………」
「どうした?元気が無いな…。まさか、喧嘩したのか?今日の事で…」
「………いえ、喧嘩では…ないと思います。だって、………レオナード、口も利いてくれないですから…」
「…!!」
「僕…上手く言えなかったんです。レオナード、怒ってすぐ帰っちゃうし…会いに行っても、追い返されちゃうんですよ…」
「………ガキか?アイツは…」
「…僕のせいだから」
「………ま、楽しみは後に取って置いた方が感動は増すが…何なら、正直に言っても良かったんじゃないか?」
「ええ…。でも、話を聞いてくれるどころか…」
「ああ、避けられてるんだったな?」
「はい…」
「しょうがないな、今気にしてもどうにもならないぜ?」
「………はい」
「目的の物を手に入れたら、お前はすぐ帰るんだな」
「え…、でも、すぐ見つかるか…」
「心配するな。俺が調べておいてやったから、すぐに買える」
「…オスカー様が?」
「アレは特殊なものだからな、行って買えなかったじゃ話にならないだろう?」
「…!!そ、うだったんですか?!…すみません、僕…。何にも知らなかった…」
「いいさ、お前の歳じゃ、詳しい方がおかしいからな」
「…レオナード、受け取ってくれるかな………?」
「今からそんなに思い詰めるなって。…大丈夫だ、きっと…な?」
「………はい!」
「運が良かったな、本当に」
「はい!!これが最後だったなんて…でも、オスカー様のおかげです!!ありがとうございます…本当に!!」
「いいって。それより、早く帰って、渡してやるんだな。ちゃんと仲直りしろよ?」
「…はい。努力、します…」
「明日の朝には着くだろうから、取り敢えず休日はまだ残ってるし。
………俺も着いて行ってやりたいが、まだ仕事が片付いてないからな…」
「いいえ!!いいんです!!………僕が、言わなくちゃいけないですから」
「…そうか。じゃ、ここでお別れだ。気をつけて行けよ?」
「はい!!オスカー様も…!!」
出来るだけ急いで、マルセルはレオナードの館まで戻って来た。
…手には、彼の為に買った物をしっかりと抱えている。
マルセルは既に泣きそうなほどに緊張を顔に表し、落ち着く為に深く息を吸った。
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