リクエスト小説

□自覚のない彼と、不機嫌な彼。
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翌日から、エルンストはレオナードの執務室へ行くのをぱったりと止めた。
本当は言いたい事は山ほどあったのだが、何故かヴィクトールに止められたのだ。

一体そんな事をして何の意味があるのかさっぱり理解出来なかったが、レオナードのやる気が出せるのなら試してみるのもいいか、とエルンストは思ったのだ。









「しかし、彼との接触まで控える必要があるのでしょうか?」


エルンストがレオナードの所へ顔を出さなくなってから一週間目。
再びヴィクトールと中庭にて。


「それは秘密だ(笑)」

「………は?」


呆れた表情で冷ややかに見られると、流石のヴィクトールも一瞬言葉に詰まる。


「ま…、まあ悪い様にはならない筈だから…な」


ヴィクトールがポン、とエルンストの肩に手を置いた時。









「…………よォ、暫く見ねェと思ったら………」

「ああ…、レオナード。久し振りですね。執務の方は滞りなく…………」

「………………」


エルンストの言葉の途中で初めてヴィクトールの姿を認識したレオナードは、一転して不機嫌を顕わにする。

エルンストとヴィクトールの顔を交互に一瞥すると、レオナードは無言でその場を去って行った。


「………どうしたのでしょうか?」

「まあ、いいんじゃないのか?」

「………は?」


心配そうにする自分とは対象的に、一人楽しそうにニヤつくヴィクトールを不思議そうに眺めるエルンストであった………。











「あ〜〜〜〜っっ、クソっ………!!」









執務室に戻ったレオナードは、さっきから言い様の無い苛立ちに自分の感情を持て余していた。




「………何でこんなイラつくんだよ?!胸糞ワリィったらねェな………!!」


自分でも何故、こんなにも腹立たしいのかわからない事にもイライラは募り、髪をぐしゃっと掻き毟る。









「………今までうるせェ位にオレ様の所へ来てたクセしてよォ……。
今度はアイツに鞍替えってコトかよ………?!」









――――――思わず吐き出していた自分の言葉に愕然とするレオナード。









「―――今、なんてったか………?オレは………?!」









これじゃまるで。









「………嫉妬丸出しじゃねェか…////」









頭をブルブルと数回振ると、レオナードは机に向かった。






「…………。と、取り敢えず、何も考えねェように………執務でもやるか………」










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