リクエスト小説
□自覚のない彼と、不機嫌な彼。
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「アイツ………。怒らせたら、ぜってーヤベーよな?恋人は尻に敷くタイプだよなー………」
「…だからレオナードにも平気で説教できるんだろ?
…それにしても。あいつらって、本当のところ、どうなんだ?結局付き合ってんのか?」
「………さーな。多分、ちげーだろ…。エルンストは相当鈍そうだし、大体そんな雰囲気ねーしな」
そう言いながらも、あの2人はアヤシイと疑っているゼフェルとアリオスだった。
「オイ、そうすると………」
「何だ?」
「ぜってー、レオナードのヤツ、エルンストには頭があがんねーだろ?」
「ま、そうだろうな…」
「アイツに真面目に執務をさせたけりゃ、そーすればいーじゃんか?」
「お前な。簡単に言うなよ。誰が好き好んであいつらの間をとりもつんだよ?
………俺はゴメンだぜ?巻き込まれたくねぇからな…」
「丁度、いいヤツがいるじゃねーか!エルンストにそーゆーコトが言えるヤツがよー!!」
「は?」
「へへ………、面白くなりそーだな?」
「………………」
「…何だよ、なにいきなり不機嫌になってんだよ?」
「………久し振りに会えたっていうのに、何で他の男の話をしなきゃなんねぇんだ?」
「////!!」
「………おい、聞いてんのか!?」
「////珍しいよな、おめーがそんなに俺に対して………その、あからさまに嫉妬すんのって////」
「………////話をすりかえるなよ…。」
「へへ………。ま、いーじゃねーか。
////マジ、ウレシーかも」
「………チッ、いくぞ?!」
「あ?………おう!」
エルンストは、レオナードが誤って破棄してしまったデータを研究院まで出向き取り寄せ、やっと自分の執務室まで戻って来た。
廊下の向こうからこちらへ歩いて来るヴィクトールが視界に入る。
「ああ、エルンスト。やっと戻って来たか。
さっきもお前のところを訪ねたんだが、ずっと留守にしていたみたいだな?丁度良かったな」
「申し訳ありません。今まで王立研究院の方へ行っていたものですから」
「…そうか。珍しいな、お前がそんな段取りを踏むなんて…」
「………全て、あの男のせいですよ………」
「…エルンスト?どうかしたか?」
「っ………、いいえ、何でもありません。
ああ、申し訳ありません。さあ、中へどうぞ」
「あ…、ああ……」
一瞬ギラリと眼鏡の奥で光ったものが何なのかは、取り敢えず追求しない事とするヴィクトールであった………。
「はははははっ」
「…………笑い事ではありませんよ……」
事の顛末をエルンストから聞いて、腹を抱えて大爆笑しているヴィクトールを他所に、エルンストは不機嫌オーラを200%解放していた。
「あ……、ああ、すまんな。
プッ……。しかし、お前も良くアイツに付き合ってやってるよな?」
「………自ら好んでしている訳ではありません…。甚だ常軌を逸したとしか言いようの無い彼の職務怠慢振りに私が我慢出来る筈も無く……。
しかも、彼が動かなければ、私達の執務にも影響しますから」
「…楽しんでやってるようにも見えなくも無いがな?」
「ヴィクトール!?冗談でもやめてください!!
…私は毎日毎日彼から受けるストレスでおかしくなりそうなんですよ?!」
真っ赤になって必死に否定するその顔もカワイイ等とヴィクトールは考えていた。
「はは、悪い。だがな、お前、気付いてないだろうが口を開けばアイツの話ばかりじゃないか。執務態度は気に入らないかもしれないが、放っておけないんだろう?」
思いもがけず、エルンストとしては突拍子も無いことを言われ、開いた口が塞がらなかった。
「な……、な……、な……////」
「エルンスト、落ち着けって。………あのな、アイツはアレでもやるときはちゃんとやる男だ」
「……………………は?」
「…だから、要はヤツをその気にさせればいいだけの話だ」
「……………はあ?」
「それでだな………」
「………………!?」
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