リクエスト小説
□★闇の中の悩める光 続編
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「………………」
「…………………」
重い、重い沈黙の後。
ジュリアスはベッドから降りるべく、おもむろに立ち上がろうとしたところを、クラヴィスに服の裾を掴まれた。
「っ!!?」
当然、そのままつんのめり、ベッドの上に倒れ込む。
「あ………すまない…」
「……ク…クラヴィス……」
「…大丈夫か?」
「…あのな…。一体何をするのだ、いきなり…」
「………お前がまた、逃げようとするからだ…」
「何を…?私が…逃げる?…また…って、何の事だ…?」
「お前はこのうやむやの状態のウチに、逃げようとしたのでは…ないのか…?」
「……何を言っている?」
ベッドで打った、少々赤くなっている鼻を押さえながらジュリアスは反論する。
「……私はただ……。トイレに行こうと……」
「………トイレ」
「わざわざそんな事を言わずとも良いだろう…」
「…どうかな?お前なら、口実にして逃げそうだが……」
「……………………」
「どうした?」
「……私は、そなたにそんなに信用が無い…のか……」
「ジュリアス…?」
「…………………」
「…お前を信用していない訳ではない。……ただ…」
「ただ、何だ?」
「この事だけに関しては……だな…」
「………………」
ジュリアスは溜め息をつくと、再びベッドから降りようとしたが、またクラヴィスに腕を掴まれた(笑)。
「……だから、どこへ行くというのだ?」
「…だから、トイレへ行くと言っているだろう、さっきから!!私は今、かなり……」
「………フッ…」
「////わかったなら、早くその手を離せ、この…バカ…」
「…ちゃんと戻って来るのだぞ……?」
「当たり前だ。…ここは、私の館だぞ?」
「…フッ……そういう事にしておいてやろう…」
ジュリアスはクラヴィスの手が離れると同時に、早足で部屋を出て行った。
「………(笑)。切羽詰まってたという訳か……」
一方、トイレの中のジュリアス(笑)。
「……トイレに用があったのは嘘では無いが……すぐに戻る気にはなれぬな…」
用を足したジュリアスは、洗面台の鏡に映る自分を見つめながら呟いた。
どうしてこうも、踏ん切りがつかないのか。
深い深い溜め息をつくと、ジュリアスは更に自分に語りかける。
「……さっきは確かに、そうなっても良い…と、思ったのだ…。
これ以上待たせるのも…クラヴィスにも悪い気がするし、な…。
だが…いざ事を始めてから、やっぱりダメだった…では、済まされぬだろうな…」
肩の力を落とすジュリアス。
いつまでもここにいる訳にはいかない。
重い足を動かし、部屋へ戻るべく、その扉を開いた。
「……遅かったな……」
「……別に、普通だろう?」
「本当に逃げたかと…心配したぞ…」
「だから、私は逃げぬと言っただろう…」
「ジュリアス…」
「っ……////、また…、そこか……」
「そうだ」
さっきと同じく、クラヴィス膝の上へ座らされるジュリアス(笑)。
クラヴィスはジュリアスの腰に腕を回し、頬を優しく撫でながら問う。
「ジュリアス…、私の事を愛しているか…?」
「…っ?!……////な…何を突然…」
「…いいから。答えろ…」
「……//////ああ、愛している、誰よりも。過去にも…そして、未来にも私には、そなたしかいらない…」
「………//////ならば、良い…」
「……?どうしたのだ…」
「…私とて、不安になる事があるのだ。……お前は相変わらず私を拒み続けるし、私に対し想いもほとんど口にしないし、…な」
「…っ……!!」
「………自覚なし…か…?」
「………………」
「?」
「…………………」
「…ジュリアス?」
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