リクエスト小説
□それはほどほどに………。
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レオナードの聞き捨てならない言葉に、マルセルの眉がピクっと動いた。
「………ふぅーん?
そういうコト、言うの?僕、そんなにレオナードに信用されてなかったんだ…?
へーえ…」
冷たい流し目を浴びせると、マルセルはレオナードの膝から飛び降り、トコトコとドアの方へ歩いて行った。
「オ……オイ、ドコへ行くんだ、お前…?」
ドアノブに手を掛けると、顔だけこちらに振り向かせて
「ドコって、帰るの。決まってるでしょ!!」
怒りに満ちた声で一言そう言うと、ノブを回した。
レオナードはさすがにマズイとばかりにマルセルを追い掛けた。
肩を掴み、ぐるりとこちらに正面を向かせる。
「……っ、な…にっ……?」
扉に押し付けるかの様に、マルセルの顔の両脇に両手を大きな音をたて、たたきつけると、瞳を覗き込まれる。
「……ワリィ、冗談だってェの。
お前だって、わかってンだろ…?オレ様の性格を、よ?」
この、許しを請う様な、少し困惑と照れの混じった色の瞳が堪らなく愛しくて仕方がない。
故に、マルセルはそれが見たくて、いつもレオナードを困らせてやるのだ。
「……知ってるよ?でも…、さっきのはちょーっと、ヒドいんじゃないかな……」
マルセルはワザとぷいっと横を向いて、視線を反らしてやる。
「……だからッ…。悪かったって機嫌、直せや…なァ?」
情けない声を出すレオナードの顔をちらりと見遣る。
―――――これが、いつも横柄で、自信満々の、あのレオナードかと思うと………。
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