リクエスト小説
□安らぎの中で見る夢は。
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はやる気持ちを抑え、深く息を吸った。
目の前の扉をノックする。
すると、それは素早く開き、中から飛び出してきた物体がオリヴィエをきつく抱き締めた。
「うっわあ……ちょ、ちょっと、何?どうしたの?」
驚いているオリヴィエをヨソに、まだぎゅ〜っと抱き締めたまま、動かない。
「ねぇ、フランシス?離してくれないと中に入れないじゃないの。それとも、私を部屋に入れてくれないの?」
その言葉を聞くや否や、ガバッとオリヴィエから体を離し、我に返る。
「あ…ああ、申し訳ありません…。あの…とても、あなたに会えるのを心待ちにしていたものですから…。
さ、どうぞ…?」
オリヴィエの手を取り、中へと促した。
「………いかがでしたか?視察の方は」
お茶を飲みながらフランシスが尋ねる。
「んー…。急だったし、かなり強行スケジュールだったからねぇ。ハードだったけど、まあ…。良かったかな?
ちゃんとやるべき事は見えたからね。クラヴィスも一緒だったし、気は楽だったよ」
オリヴィエの言葉にフランシスは目を丸くし、僅かに眉をひそめた。
「……クラヴィス様…も、ご一緒されたのですか……?」
「ああ、そうなんだよ。急に出発直前になって決まったからねぇ。
相っ変わらず話は弾まないけどね、気を遣わないで済む相手だから、助かったよ」
表情を曇らせたが、すぐにいつもの微笑みで返した。
「……そうでしたか。…でも、ご無事で何よりでした。あなたにもしもの事があったら私は……」
「フランシス?」
オリヴィエが遮る様に名を呼んだ。
「言いたい事は、それじゃないんでしょ?」
一瞬怯むが、それでも笑顔を崩さない。
「……いいえ、私は別に……」
あくまでも否定する気なんだ――――。
ふーん………
「…そっ?なら、いいんだけど。
私はてっきりクラヴィスに妬いちゃってんのかと思ったからさ、…私の勘違いってワケだ?あまり私に興味無いみたいだし、そうだよね……」
わざと目を伏せ、寂しそうに呟いてみせる。
「えっ?!いえっ…違うのです…。
あの…、申し訳ありません。…あなたの、仰る通りなのです…////」
………知ってるよ、そんな事。
「私の……、その…醜い部分をあなたには見せたくないと……」
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