リクエスト小説

□★すれ違う心。
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あれから、何の変化もない。いや、最早、二人きりで過ごす事はなくなった。
ジュリアスも、クラヴィスもその事を除けば、何の変わりもなかった。





いつまでこんな中途半端な状態が続くのか……。
ジュリアスはかなり精神的に疲弊していた。











―――――行きたくない。
クラヴィスに渡す書類を掴み、一瞬迷う。
だが、避けていると思われるのだけは嫌だった。せめて、普通にできるのだというところを見せねばならない。


常に執務に私情を挟むなと何度も言ってきたのは、他ならぬ自分だからだ。











クラヴィスの執務室の扉をノックする。
あいかわらず返事がないが、構わず入る。




「……ジュリアスか……」



しばらく窓の外を見ていたらしく、少し眩しそうに目を細め、こちらを見る。



「……ああ、急ぎの書類を持って来たのだ……」



机の上にそれを置くと、クラヴィスの視線が自分に注がれているのを感じた。



「……久しぶりだが…元気そうだな…」

「……………」



見た目にはそう映るのだろうか。それはそれでジュリアスは複雑な感情を覚えた。




「……そろそろ、我慢できなくなって来たのではないか……?」

「……………何の事だ」

「……体の事だ。……お前は見掛けによらず、イヤらしい体をしているからな…」

「……っ!!!!
……そなたの知った事ではなかろう。私の相手はそなただけではないからな、
不自由はしておらぬ」



クラヴィスは机を回り込み、ジュリアスの腕を掴み、体をさせ腰から下を机に叩き付ける様に押しつける。



「……そうか……私はもう必要無いと、…そういう事なのだな?」



そう言うとジュリアスの唇を奪った。いつものキスとは違う、怒りにまかせた、心が痛くなる様な。

ジュリアスは抵抗するが、クラヴィスの腕からは逃れられない。
ようやく唇が離された頃にはジュリアスも息が上がってしまっている。



「…っはぁ…、こんな…執務中に…何を考えている!!」



ジュリアスは真っ赤な顔をして怒り出すが、クラヴィスの様子がおかしい事に気付く。
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