リクエスト小説
□★すれ違う心。
2ページ/7ページ
「……クラヴィス、言いたい事があるのなら、はっきり言え。……私と別れたいのなら、そう言えば良いではないか」
荒げてしまいそうな声を必死に抑え、伏せたら今にも溢れてしまいそうな涙を堪え、僅かなプライドによって、やっと持ち堪えているのだ。
「……………」
クラヴィスは何も答えない。何を考えているのか、表情からは窺い知る事はできない。
「……距離をおくのでも、別れるのでも、私はどちらでも構わぬ…。
そなたの好きにしろ……」
「………お前は、それで…いいのか…?」
「……っ!!……構わぬと、言っているだろう!!」
ジュリアスはそう言いきると、執務室から飛び出して行ってしまった。
「……そう…か。…私の…、自惚れだったのか」
一人、室内に残されたクラヴィスは、寂しげに呟いていた。
いつも自分ばかり求めてしまう。
…ジュリアスは拒む事はしなかったが、本当はどうなのか。
自分も恋人に求められているのだろうか。
言わずとも、わかるだろうと言われてしまえばそれまでだが、あまりにもそれでは寂しい。
時には言葉で、態度で示して欲しい。
…そう思うのは、私の我儘なのか…?