リクエスト小説
□とある幸せの中にある不幸
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「…げっ!!ル、ルヴァ!!」
ゼフェルは驚いて上体を起こそうとしたのだが…。
「う゛っ……い゛って〜〜〜〜〜〜〜」
「大丈夫か?ゼフェル」
オスカーが慌ててゼフェルの背中を支えてやる。
「あ……わ、ワリィな……」
「ああー、ゼフェル。だから今日は館で大人しくしてる様に言っておいたのに…」
「てっ……てめー、このっ………誰のせいでこんな事になったと思ってやがんだっっっ」
「…ええ、私のせいですけどねー、言う事聞かないで動いたりするから、余計痛むんですよ?」
正に怒髪天を突くが如し。ゼフェルは猛烈な勢いで怒りを露にするが、一方ルヴァの方はというと…。
いつも通り…いや、いつもよりも機嫌がすこぶる良ろしい様で…(笑)。
「…何?どういう事だ……?ルヴァはゼフェルのこの状態を知っていたのか?」
ジュリアスはこの全く把握できない状況に困惑している。
「…そんな感じはしますが……?…おい…?」
ジュリアスとオスカーの言葉めも耳に入らないようで、二人の会話は更に続く。
「だっ////大体なー、初心者にいきなりあんなっ…。あそこまでスるヤツなんて…。有り得ねーだろーがっっ!!いい歳こいて加減ってモンしらねーのかよっ?!」
「仕方がありませんよー、ゼフェル?あなたも散々私をジラしてくれましたからねー…。お互い様ですよ…、これはね…?」
「…っっ!!!////」
「………なる程…、ようやく話が見えてきたな」
オスカーはボソッと呟いた。かたや、ジュリアスは未だ理解していない様子。
すると、ルヴァはゼフェルの横たわっているソファーの前に立ち、背中を支えたままのオスカーに微笑みながら言った。
「…オスカー、すみませんねー。この子は私のなんですよー?」
「「………っ!!!!////」」
オスカーもゼフェルも絶句する。
目が笑ってないぞ、ルヴァ…
素早くゼフェルを姫抱きし、くるりとジュリアスの方へ向くと
「…ゼフェルは体調が優れないので今日はこれで休ませますから。私はこの子を館まで送り届けたらそのまま看病します。
……よろしいですね?ジュリアス」
「…あ、……ああ。わかった…」
ジュリアスもルヴァの笑顔の中に潜む殺気を感じ取った様だ(笑)。
「…では、帰りますよー?ゼフェル」
「嫌だっっ!!オレは帰んねーぞっ!!オレは平気だからほっとけっつーの!!てめーと二人きりになるなんて金輪際ゴメンだっつーんだよっ」
「……ゼフェル?……言う事聞かないと…お仕置しますよー?」
びく、と3人の体が揺れた。
もちろん、ゼフェルとジュリアスとオスカーのである…(笑)。
「そうですよー、大人しくしていれば、私も何もしませんからねー」
(……ぜってー、ウソだ…)
そう言いながらルヴァはゼフェルと共に出て行ってしまった。
「……オスカー」
「………はい」
「……今日の事は忘れろ。私も何も聞かなかった事としよう……」
「………ええ、そうですね……」
灰になってしまった二人はフラフラと鋼の守護聖の執務室を後にした………。
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