リクエスト小説
□とある幸せの中にある不幸
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コンコン。ゼフェルの執務室をノックする音が聞こえる。
「…オスカー、ゼフェルは本当に来ているのだろうな?」
「はい、先程館の者に確認しましたので」
「……そうか」
もう一度ジュリアスはノックをした。
暫くすると、ガチャリ…と扉が開く。
いつもの目線に部屋の主を認識できず、二人は戸惑った。
「…んだよ。何の用だよ?…」
それよりも下から聞こえるゼフェルの声にジュリアスとオスカーは驚いて見下ろした。
「ど…どうしたのだ?ゼフェル…」
「お……おい…」
見れば、ゼフェルの体は立っているのがやっと、といった風に腰を曲げ、ドアノブを握る手に体重を預けている。
「………。ちょっとベッドのスプリングがな…。朝起きたら体中痛くてよー。満足に動けねーんだよ」
「だ、……大丈夫なのか…?」
「まあ、とりあえずはな…。ココまで時間はかかったけど、一応来る事はできたし…」
「…ああ、オスカー。ゼフェルを中へ…。ソファーへ運んでやろう」
「はい。…ほら、俺に掴まれるか?…いいか、いくぞ…」
オスカーはゼフェルを軽々と抱き上げると、ソファーへそっと横に寝かせる。
「あ……ワリィ。…んで、何で二人はココに来たんだ?」
向かいのソファーに腰掛けたジュリアスとオスカーは顔を見合わせる。
「…いや、良いのだ。今日、お前が時間になっても執務室内にいないと聞いて、来てみたのだが…。具合が悪いのでは、仕方がないからな」
「しかし、そこまでひどいとはな…。お前そんなに寝相が悪いのか?」
「…いや、…それは…」
その時、扉からノックが聞こえた。ガチャリ、と開いた扉からルヴァが顔を出す。
「…ゼフェル?ココにいるんですかー?」