リクエスト小説

□miss
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「リュミエール、あと少しで終わりますから…」

「はい、ルヴァ様…。まだいくらか時間に余裕がございますので、大丈夫ですよ」




ルヴァの執務室。
なにやら、ルヴァがあらゆる書物を机の上に並べ広げ、書類を書き進めている。

実は今ルヴァが慌ててやっつけているこの書類。
本来ならば期日はまだまだ先の筈であったのだが…急遽事態が急変し、ルヴァに最優先で処理してもらわなくてはならなくなってしまった、という訳なのだ。




「…相変わらず、すごい蔵書の数ですね。何時見ても壮観です…。おや…しかし、心なしかここ1週間程でまた…増えましたか?」


ルヴァを待つ間、リュミエールが執務室内の天井まで届きそうな本棚達を楽しそうに眺めていた時。


「………や、やっぱり…わかってしまいますかねー…?」

「ふふ…また、オリヴィエが怒りそうです…」

「…そうなんですよー。最近…富にオリヴィエが怖いんですよ…」

「仲が…よろしい証拠、でしょう?」

「…そうなんですかねー?でも…本当に怖いんですよ、リュミエール…」


ルヴァのやや怯えた声に、楽しそうに微笑みながら部屋の中を眺めていた、リュミエールの視界に入った物は…………。

腰位の高さがある、サイドボードの上に。
取っ手の付いたガラスのビンが2つ。
その中には、それぞれ違う種類の包み紙に包まれた飴が、キレイに分けられて入っている。




「…ルヴァ様、お風邪でも召されたのですか?」

「…え?いいえー、私は元気ですよ、この通り…ね?」


心配そうに尋ねるリュミエールの言葉に、ほら、とにっこりルヴァが微笑む。


「あ…失礼しました…。ルヴァ様のお部屋に…飴があるなんて意外だったものですから…。わたくしはてっきり、喉の調子がお悪いのかと…早とちりしてしまいました。それに…今朝、オスカーがそのような事を申しておりましたので…」

「ああー…、それでですか。オスカーも疲れが溜まってるんでしょうねー、ここのところ…彼は忙しかったようですしねー?」

「ええ…ついこの間視察から帰って来たばかりだと思ったら、またすぐに別の地へ出発してしまったりと…立て込んでおりましたから」

「そうでしたねー…。あ、リュミエール、良かったら、その飴をオスカーに持って行っておあげなさい。それは喉にいいハーブが入っていて、中々効果があるんですよ」

「え…ルヴァ様、宜しいのですか?」

「ええ、もちろんです。あ、でも、右側にあるビンではなくて、左側の飴を持って行って下さいねー?」

「は…はい?」

「…実は、あまりにもおいしくなくて…オリヴィエに相当な不評を買いましてですね…」

「…ふふ、では、左のビンですね。少しだけ…ありがたく頂戴致しますね?」

「はい、どうぞ………と、リュミエール、お待たせしました。やっと…出来ましたよ」

「あ…はい、ルヴァ様、ありがとうございます。急がせてしまって申し訳ありませんでした」

「いいえー、こんな事はいつもの事ですから…私も慣れたものです。あなたがそんな風に気に病む必要などありませんよ、リュミエール?」

「はい…ルヴァ様」

「では、それをジュリアスの所へお願いしますね」

「はい。…では、失礼致します」

「はい、また来て下さいねー」



ニコニコとリュミエールを送り出したルヴァは、ふと飴の入ったビンに目をやった。
同じ位の量が入っていた2つのビンの中身は…左側が少しだけ減っている事に、目を丸くする。




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