リクエスト小説
□憧れと恋の狭間で。 11/5up
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「うがーーっ!!…あーーーっっ!!もうワケわかんなくなってきたぞ!!」
ぐしゃぐしゃと髪を掻き毟ると、執務机の上にバッタリと倒れこむ。
「ユーイ?入るで〜?」
ノックの音と共に入ってきたのは。
「あ…チャーリー…」
「どないしてん?お前…メッチャ疲れた顔してんなぁ…」
「んー…、何かもう…頭ん中ぐちゃぐちゃでさ。…なあ、こんなややこしい事、皆…平気なのか?」
「ん?さあ…どうやろな?」
「チャーリーは?もう守護聖の執務に慣れたのか?」
「ああ、俺はこういう事務的な事も慣れとるからな、任しとき!!」
「そっか…。いいなあ、俺…自信なくなってきた…」
再び机に伏せるユーイを、楽しそうに眺めているチャ−リー。
「…あのな、落ち込んでるとこ悪いんやけど…。その、ユーイの下にある書類。
急ぎゆうてたやろ?」
「え………?…あ!!」
「俺が取りに来たんやけど…その様子じゃまだみたいやし、…出来るか?」
「う、うん…ごめん。すぐにやるから、ちょっと待っててくれるか?」
「ああ、構へんよ?少し位ならまだ余裕あるしな…って、どこまで進んでるん?」
「あ…」
「な…」
ヒョイ、と覗いてみると…書類はまだ3分の1程度しか出来てはいなかった。
「…あのな」
「ご…ごめん!!なんか…頭こんがらがっちゃって、なかなか進まなかったんだ…。
でも、今すぐやるからな?」
「ああ、俺も手伝ったるから、早いトコやってまお?」
「…え、いいのか…?」
「しゃーないやろ、実際出来てないんやし」
「う………」
「さ、始めよか?」
「あ、…うん」
2人ですったもんだしながらも、思うより早く終わらせる事が出来て一息つく。
「………はー、メッチャ真面目に仕事したって感じやな〜」
「ごめんな…?チャーリー。俺。要領悪くて…ダメだな、こんなんじゃ…。じいちゃんに怒られちまうな…」
「…ええよ、そんな気にせんでも。まだ始まったばかりやし、あんま最初から飛ばしすぎると後で皺寄せが来んで?」
「うん…ありがとう。でも…それで皆に迷惑かけてちゃ意味が無いからな。自分の事は自分で出来るようにならなきゃ…自分で責任持ってやらなくちゃダメだ」
「………間違うてはおらんけど…真面目っちゅーか、お前…変なトコで頭固いよなあ…若いくせに」
「へ?」
「あ、イヤ、こっちの話」
「…?あ、でもチャーリーに手伝ってもらって、助かったぞ!!ありがとうな!!」
ニカっと満面の笑みでガシっと手を握られ、ブンブンとその手をユーイに振り回されるチャーリー。
「俺…もっと頑張るから、見ててくれよな…?」
真剣な眼差しで、じっとユーイに見詰められたまま言われたチャーリーは、心なしか頬が赤くなっていた…。
「あ…ユ、ユーイ?その…手…」
「えっ?!…あ!!////ご、ごめん…」
パッと離されたお互いの手が、行き場を無くしたかのように落ち着かない。
何となく、気まずい空気が流れる。
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