リクエスト小説

□欲しかったものは。
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「あ。そうだ!来週は会えないんだ、僕。」

「…なんだァ?いきなり…」







ここはマルセルの館である。
休日、レオナードが訪ねて来たそうそう、マルセルは切り出したのだ。







「出掛けなくちゃいけない用事が出来ちゃって…。ごめんね?レオナードと一緒にいられないんだ…」

「………土日、両方ともか?」

「…うん、そうなんだ」

「どこへ行くんだ?」

「え…あ、それは………」

「オレ様に言えないトコに行くのか?!」

「や…、あの………」

「………」

「あの、あのね?今は言えないんだけど…後でちゃんと話すから、怒らないで…?」

「………」

「…レオナード…?」

「………帰る」

「えっ…?帰るって………、来たばかりじゃ…」

「…じゃあな!!」



一気に気分を害した様子のレオナードは、踵を返すと振り返りもせずに部屋を出て行った。










「………レオナード…」







こんな事は初めてだった。
ちゃんと、言えばわかってくれると思っていたのに………。




マルセルは、声を掛けることも、引き止めることも出来ずに…ただ、立ち竦んでいた………。






話は昨日の執務時間中に遡る。





「よう、マルセル。今、ちょっといいか?」

「あ、オスカー様!!こんにちは。どうかしたんですか?」

「ああ、お前に…、用があってな」

「?」

「来週の土と日の曜日にだが、視察に行く事になってな…」

「ええ?!休日なのに、珍しいですね?」

「まあ…俺の都合がその日しかつかなくてな。陛下もなるべく早く行って来て欲しいと仰っていたので、急遽そういう事になったんだが」

「それで、どちらへ行かれるんですか?」

「それがな…?」






「!!」

「お前も、行くか?」

「いいんですか?!僕、行きたいです!!今、欲しい物があるんです!!…実は………」






「…そうか。俺が買ってきてやってもいいんだが…お前。自分で買いたいんだろう?」

「////はい…」

「じゃ、陛下に許可を申請しておくからな?…お前の恋人は自分で何とかしろよ?」

「はい!!ありがとうございます、オスカー様!!」

「いいって事だ、うまく誤魔化すんだぜ?」






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