リクエスト小説
□闇の中の悩める光
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―――――私は、早まったのではないのか……
いざ、部屋に戻って冷静に考えてみると……。
早まった。
どうかしていた。
気の迷いだった。
………そんな言葉しか浮かんで来ない……。
「……しかし…、あの男は……」
今まで、散々待たせて来た事は、本当に済まないと思っているし、良く我慢もしてくれていたとも思う。
だが―――――。
「……それとこれとは、別だと思うのは……私だけなのか…?」
「……?何がだ……?」
「っ!!!!」
心臓が口から飛び出すかと思う程、びっくりして振り向くと―――――。
「ク……クラヴィス…。いつの間に…」
ジュリアスは胸の辺りの服をぎゅっと掴み、頬をやや紅潮させている。
「………?さっきからだが…やはり気付いてなかったか…」
「………」
ガクリと脱力し、項垂れるジュリアス。
「…入るなら入ると言ってからにしろ……」
「………。声は掛けたぞ?…お前は何やらブツブツと一人言を言っていたが……な」
「は…?そうなのか…?」
ぽかんと固まってしまうジュリアスに黙って頷くと、彼の手を取り、勝手知ったるこの邸の主の寝室へと向かう。
「なっ…クラヴィス…、どこへ……いきなり、…か…?」
「……どこがいきなりだ…。私がこれまでどれ程待ったかという事を、お前は本当に理解しているのか…?」
「////っ、…そうではなくて……」
「…………では、何だ…?」
ぴた、とクラヴィスが歩みを止める。
「お前は先程、答えが知りたければ、確かめれば良いと……そう言ったな…?
では、今お前に問う…。私は…、お前が欲しい。…お前の答えとは…何だ…?」
表情自体は相変わらずのものであったが。
瞳だ。瞳で全てを語る、この男……。
ジュリアスは切実に自分を求められているその現実に、急に羞恥を覚え、いてもたってもいられなくなり、俯いてしまった。
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