リクエスト小説
□★すれ違う心。
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いつもの様に交された情事。
クラヴィスはベッドの中で余韻に浸り、まどろんでいる恋人を、胸に抱きながら考えていた。
それはずっと以前から、この愛しい恋人を手に入れた時より感じていた事だ。
答えの出ない思いを馳せ、クラヴィスは知らずの内に深い溜め息をついていた。
「………どうしたのだ?クラヴィス」
それに気付いた恋人、ジュリアスがだるそうな体を起こし、尋ねる。
「………いや、何でもない……」
クラヴィスは目を伏せたまま、ジュリアスの豊かな金色の髪に指を滑らせている。
「……?そうは見えぬが…」
不思議そうに窺うジュリアスの口に指を宛て、
「……何でもないと言っている……」
クラヴィスはそう言うと、黙らせるかの様にキスをした。
(……さて、どう出るか……)
忙しい執務に追われ、そういうやりとりがあった事も、忘れていたジュリアス。
最近、クラヴィスの様子がおかしい事に気付き、不安を感じていた。
いつも朝まで自分をベッドから離さない程の恋人が、何もしてこない。
だからといって、一緒にいないワケでもなく、二人で過ごす時間は今までのままだし、寝る時も同じベッドで眠る。
ただ、体を求められないというだけの事。
それは、何を意味するのだろうか………。
執務中にそんな事を考えていると―――。
ノックと共に、クラヴィスが書類を手に入って来た。
「……クラヴィス、…ああ、ご苦労だったな……」
ジュリアスは事務的にそれを受け取ると、不安を悟られない様に執務に戻ろうとした。
「……どうした?あまり、覇気が感じられぬが……」
クラヴィスに尋ねられ、少しムッとしたが、すぐに平常心を保ち、答える。
「……?…そなたの気のせいであろう……」
「………朝までゆっくり寝かせてやってるのだ……。体力は問題ないだろう?」
「っ!!」
………いきなり何を言い出すのだ、この男は……。
「……それとも、何か悩みでもあるのか?」
心なしか、クラヴィスの口に僅かに笑みを感じられた。