Dream(HP)
□ペナルティ
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抜け穴のある隻眼の魔女の像へ向かいながら、双子はとぼとぼ歩いていた。
別にホモ疑惑が原因で動揺しているわけではない。
…確かに嫌なことは嫌だったが。
「カード、だってよ…ジョージ」
「まいったなあ、フレッド」
数歩進んで、立ち止まる。
「気がすすまないな、相棒」
「まったくだ」
「にしても、うかつだったな。今年も誰にもやらないと思ってたのに」
「…なあ、フレッド」
「…言いたいことは分かるぞ、ジョージ」
彼らはお互いの目をちらりと見やって、ため息をついた。
「「……誰に渡すつもりなんだ…?」」
「俺たちに、ってことはないか」
「本人に買いに行かせるか?」
「だよなあ…」
二人いるのに、彼らは協力関係にあった。
取り合い以前の問題で、彼ら双子はレイにとって悪友以上になれずにいたのだから。
一番近くが盲点とは、誰が言ったものか。
当たりすぎていて憎らしい。
「好きな女がどこぞの馬の骨に渡すカードを買いに行くんだぜ、俺たち」
「口に出して言うなよ、余計辛い」
ジョージがため息をつく。
「しかも大切なことを忘れてる。翌日からブラコンホモ扱いだ」
「歴史に残る最悪バレンタインだな」
はは、と乾いた笑いをフレッドが発し、それをきっかけに二人はまた歩き始めた。
あまりに落ち込んでいて、購入するカードに悪戯してやろうと思いつくことすらない。
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彼らは知らない。
当日、なんだか見覚えのあるカードが、ふくろうで運ばれてくることを。
『今度からは私も絶対計画に混ぜなさい
失敗なんてさせてあげないからね』
なんてメッセージと共に、
そこにはちゃんと、いつも一緒にいる彼女の頭文字が刻まれているのだ。
…まあしっかりと、例の噂は立ったんだけれど。
End.