Dream(HP)

□ペナルティ
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 抜け穴のある隻眼の魔女の像へ向かいながら、双子はとぼとぼ歩いていた。


 別にホモ疑惑が原因で動揺しているわけではない。

 …確かに嫌なことは嫌だったが。


「カード、だってよ…ジョージ」

「まいったなあ、フレッド」


 数歩進んで、立ち止まる。


「気がすすまないな、相棒」

「まったくだ」

「にしても、うかつだったな。今年も誰にもやらないと思ってたのに」

「…なあ、フレッド」

「…言いたいことは分かるぞ、ジョージ」


 彼らはお互いの目をちらりと見やって、ため息をついた。




「「……誰に渡すつもりなんだ…?」」




「俺たちに、ってことはないか」

「本人に買いに行かせるか?」

「だよなあ…」


 二人いるのに、彼らは協力関係にあった。

 取り合い以前の問題で、彼ら双子はレイにとって悪友以上になれずにいたのだから。


 一番近くが盲点とは、誰が言ったものか。

 当たりすぎていて憎らしい。


「好きな女がどこぞの馬の骨に渡すカードを買いに行くんだぜ、俺たち」

「口に出して言うなよ、余計辛い」


 ジョージがため息をつく。


「しかも大切なことを忘れてる。翌日からブラコンホモ扱いだ」

「歴史に残る最悪バレンタインだな」


 はは、と乾いた笑いをフレッドが発し、それをきっかけに二人はまた歩き始めた。

 あまりに落ち込んでいて、購入するカードに悪戯してやろうと思いつくことすらない。




****




 彼らは知らない。


 当日、なんだか見覚えのあるカードが、ふくろうで運ばれてくることを。


『今度からは私も絶対計画に混ぜなさい

 失敗なんてさせてあげないからね』


 なんてメッセージと共に、

 そこにはちゃんと、いつも一緒にいる彼女の頭文字が刻まれているのだ。




…まあしっかりと、例の噂は立ったんだけれど。




End.
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