Dream(HP)

□I miss you
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 事態が落ち着いたのは、3日後。

 魔法薬学の時間だった。




 心ここにあらず状態で授業を受けていたレイは、
材料を入れ間違え、ネビルをしのぐ大失敗を犯してしまった。

 もちろんスネイプは大量減点ののち居残りを宣言。

 レイに哀れみの視線を送りながら、一人また一人と、生徒が教室から出て行く。








「…さて」


 スネイプは冷たく言った。


「ミス・コーリ、片づけをしてもらう。それぞれの机から余った材料を集めて一箇所にまとめろ」


 そこでようやくレイは顔を上げたのだが、スネイプを見た瞬間、








 じっと見つめて、動かなくなった。








「…どうした、さっさとやりたまえ」


 不機嫌そうに言ってもはレイは目すらそらさない。

 いつもは他の生徒と同じく、オドオドしながらスネイプに接するレイが、だ。


「コーリ、聞こえているのか?」

「………はい」


 やっと答えたレイの声は、スネイプの記憶とは若干違っていた。




 なんというか、


 自分をよく見せようとして作った声のような。






「喜んでさせていただきます、スネイプ先生」




 おまけにレイは、まさに花も恥らう乙女の顔で、


 微笑んだ。

 


 スネイプは微笑む代わりに、

 思いっきり怪訝な顔で返した。








***








 別の意味でレイの様子が変わったのは、それからである。


 今度はスネイプ限定だった。




 薬学の後片付けを自主的に手伝う。

 どの授業でも質問ができれば真っ先にスネイプに聞きにいく。

 毎日研究室に通い詰める。

 時々手づくりお菓子を持参。

 ついでに言うと、スネイプと話すときはいつも笑顔で嬉しそうだ。




 友人はじめ周囲はホームシックの被害を受けなくなったことに安心したが、

事態があからさまになり始めると、大いに動揺し、ざわついた。








 グリフィンドール生としては、

 明らかに異常だ。








 っていうか、趣味悪りぃ。 




 なぜわざわざあんな陰険コウモリオヤジに。






 近くにこんないい男たちが揃っているのになあ。

 …という話題が男子生徒の間でされたとか、されてないとか。








 レイについてはスネイプ本人もかなり不思議に思っているようである。

 あるお気に入りの生徒に、怒るというよりは困っている表情で、


「あれは何とかならんのかね」


 と思わず漏らしたとか、そうじゃないとか。




「邪険にしても嫌味を言っても、まったく効かんのだ。意図が分からん。何故ああまでひっついてくるのかね」


 このブロンドの少年も噂は耳にしていたので、親切心で教師に教えてやった。

 ただし話題がその人物にかけ離れていたので、ものすごく勇気が要った。


「好きだから…じゃないんですか」

「…は?」

「だから、コーリが、スネイプ先生を、ですよ」

「…君、気は確かかね、マルフォイ」

「先生こそしっかりしてください、顔がかなり青いです」








嫌味を言うでもなく笑い飛ばすでもない。


 ただ何も言わず眉を寄せるだけで精一杯の教師は、


 比喩でもなんでもなくまさに

『フリーズ』していた。







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