Dream(HP)
□Broken
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結局、名前は聞き流してしまった。
生徒なのだから名簿を見れば顔と一致するだろうが、そんな気にはなれない。
レイの一つ上、レイブンクローの6年生。
綺麗な茶色の髪で、同じ色の瞳。
もちろん背が高くてハンサムだ。
「…ふーん」
例の「彼」を、授業をしながらルーピンはそっと観察する。
恋人としては確かに完璧だな。
「ねえ、君」
「何でしょうか、ルーピン先生」
礼儀も正しい。
「急ぎなんだが、これをマダム・フーチまで届けてくれるかい?」
「もちろんです」
気持ちのいい、はきはきした好青年じゃないか。
「お礼にこれをあげよう。百味ビーンズ」
「ありがとうございます」
はじけんばかりの笑顔。若さって素晴らしい。
まさに満点。
…不思議だ。
それなのになぜ、
彼が気に入らないんだろうか?
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