Dream(HP)
□チェーンジ!
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「何を考えている!!」
「さっきから言ってるじゃないですか。二回目ですよそれ」
レイはアクシオ、と姿見を出した。
「スネイプ先生になってみたかったんです。でも二人いるのも変だし、ついでに先生には私になっていただこうと」
「馬鹿者!」
「威厳ありませんね〜私の声だと」
涼しい顔で鏡の前でポーズをとる。
「その点この声は…マーマーマーマー♪」
「歌うな!」
「はっはっは!やっっぱ低音最高!」
「満面の笑みで笑うな我ながら気色悪い!」
「あ、先生の服お借りしていいですかね」
「貸すか!」
「じゃ、このままスカートでいろと?」
レイはちらり、とマントの裾から足を覗かせる。
どう見ても自分の足だ。男の生足だ。
「…アクシオ」
「ありがとうございます。着替え終えたら私の服貸しますから」
「誰が着るか」
「でもそのままだと、お色気満点ですよ。見ます?」
「ふん、お前の色気などたかが知れている」
意地でも自分がレイの姿であるところなど見たくなかった。
「まあそうですが、羞恥心の問題で」
少し困ったようにレイはスネイプを見下ろした。
「肩が出てます」
スネイプは慌てて首もとのローブをかき寄せた。
「ぃよっし、着替え完了」
「…ああ」
「先生、も少し明るいテンションでいってくれません?
気が滅入ります」
「できるか」
女装趣味はない。
「いやーそれにしても彫りの深い顔だ」
うっとりとまた鏡の前に立つレイ。
「その分表情が出にくいですが、細身だから黒が似合うしよしとしましょう。ふふふ…」
ぺたぺたと感触を確かめるように肩のあたりを撫で回す。
「…やめろ。変態か」
「先生もやっていいですよ」
「そういう問題ではない!」
スネイプは再びかんしゃくを起こした。
「あっけにとられて忘れていたが、グリフィンドールから50点げんて…」
「こちらもうっかり言い忘れていましたが」
冷静にさえぎる低い声。
「誰にポリジュース薬をいただいたと思います?」
「…誰だその愚か者は」
何も言わず、レイは小さな羊皮紙を突きつけた。
『許可証
私、アルバス・ダンブルドアは、レイ・コーリのポリジュース薬使用を許可し、
これによる減点の処置をとることを認めないものとする。』
「正直に話したらちゃんと許可してくれましたよ。人徳ですね」
「甘い!甘すぎるぞ校長!」
「あ、今からお礼しにいってこよう」
「なんだと!?我輩の姿で校内を歩き回るなど許さんぞ!」
「大丈夫ですよ。じゃ」
「待て!」
風のように部屋を出て行った黒衣の男(見た目)を追いかけて、制服の少女(見た目)も出て行った。
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