Dream(HP)
□物語はつづく
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コンパートメントの窓際に座り、少年はひとり考える。
この列車に座っていれば、僕はあの世界に帰れるんだ。
去年一年を過ごしたホグワーツへ。
それは確かなはずなのに、一ヶ月以上もあのダーズリー一家と暮らした後では、現実感がまるでなかった。
そもそも、この列車は本当にホグワーツに着くんだろうか?
みんな僕が慌てふためくのが楽しくて、騙しているだけなんじゃないか?
この列車の行き先は魔法使いなんか一人も居ないただの田舎で、僕はそこで一生畑仕事をさせられるとか?
ディメンターがいるわけでもないのに、不安がじわじわと押し寄せてくる。
早めに乗り込んだせいで、まだ人が来る気配はない。
誰か来てくれ、ロン…ハーマイオニー…この際魔法使いでさえあればマルフォイでもいい。
誰でもいいから僕の思いつきを否定してくれよ、
はやく、はやく…、
前触れもなく、突然コンパートメントの扉が開いた。
「どうも」
「…ドーモ?」
黒い髪の女の子がそこに立っていた。