Dream(HP)

□物語はつづく
1ページ/4ページ

 


 コンパートメントの窓際に座り、少年はひとり考える。


 この列車に座っていれば、僕はあの世界に帰れるんだ。
 去年一年を過ごしたホグワーツへ。


 それは確かなはずなのに、一ヶ月以上もあのダーズリー一家と暮らした後では、現実感がまるでなかった。


 そもそも、この列車は本当にホグワーツに着くんだろうか?

 みんな僕が慌てふためくのが楽しくて、騙しているだけなんじゃないか?

 この列車の行き先は魔法使いなんか一人も居ないただの田舎で、僕はそこで一生畑仕事をさせられるとか?


 ディメンターがいるわけでもないのに、不安がじわじわと押し寄せてくる。

 早めに乗り込んだせいで、まだ人が来る気配はない。
 誰か来てくれ、ロン…ハーマイオニー…この際魔法使いでさえあればマルフォイでもいい。
 誰でもいいから僕の思いつきを否定してくれよ、

 はやく、はやく…、



 前触れもなく、突然コンパートメントの扉が開いた。



「どうも」

「…ドーモ?」




 黒い髪の女の子がそこに立っていた。

 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ