Dream(HP)
□Restaurant Dinner
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たった5分で、ボトルが半分空いた。
2本目だというのに。
「…先生、最近フラれましたか」
「どうしてそう思うのかね?」
「だってその飲みっぷりは」
私の言葉など全く構わずに、がばりと杯をあおる。
「…問題ない」
飲み干したスネイプが言った。
「我輩が酒に呑まれるとでも思うか」
「あの、目が座っているんですが」
「錯覚だ」
「顔がほんのり赤い気がするんですが」
「店の照明のせいだろう」
指摘はあっさりと却下された。
「我輩がフラれるだと?」
座った目がじぃっとこちらを見つめてくる。授業とはまた違った居心地悪さだ。
「そんなことは有り得ん。何故なら、我輩の価値が分からん人間などいるはずがないからだ」
…酔ってる。
「そうであろう、コーリ。我輩の真の価値は相対ではなく絶対で評価されるべきものだ。我輩は唯一無二の存在であるからして」
ホグワーツいち陰気な男が今や饒舌なナルシストである。すごいな酒の力。
「価値が誰の目にも明らかならば、比べられ飽きられ捨てられる必要などあるまい」
「そうですね−。引っこ抜かれて戦って食べられたりもしませんしね−」
酔っ払いの話は否定も反論もいけない。適当に相槌うつのが一番である。
…これは適当すぎるか。
「お前もようやく我輩の良さが分かるようになったか、コーリ」
一方スネイプは、突っ込むことも忘れてうんうん頷いている。
オヤジだ。
完全に酔っ払いおやじだ。