Dream(HP)2

□気まぐれアストロロジィ
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 私の部屋には本がたくさんある。
 まず私の蔵書と、ルームメイトであるハーマイオニーの蔵書。
 それから二人とも図書館から必ず本を(制限数ギリギリまで)借りているし、友人から借りた本まで積んであるのだ。

 はじめてそのことに気付いたとき、本がある風景が大好きな私は

「…幸せ」

 と知らず呟いていた。

「そうね、最高だわ」

 と答えてくれた彼女こそ、私にとって最高の相棒だろう。


 その山積みの本の中に、ある日見慣れない本が混じっていた。
 目立てばそれでいいとでもいうような、鮮やかなピンク色のカバーがかかった薄い本。
 その表紙にはこう書いてあった。

『1日3分心に栄養――これであなたも恋愛体質』

「ん?」
 と私が首を傾げて一言発するとすぐさま、その本は手元から奪い取られた。
 犯人はもちろん、相棒である彼女だ。

「借りたの?」
「ラベンダーが教室に忘れていったの」

 ハーマイオニーは何でもないふりを装っていたが、顔が心なしか赤かった。

「あとで返そうと思って、とっておいてあげただけよ」
「別に隠さなくてもいいのに」

 私はにやりと笑った。恋する乙女をひやかすのはどうしたって楽しい。

「ちょっと見せて。中身気になる」
「どうってことないわよ」
「読んでるんじゃん」

 彼女は今度こそ真っ赤になって、私に本を手渡した。

「えーと」

 内容は占星術を原型がなくなるほどふにゃふにゃに柔らかく煮込んだような、マグルの占い本に毛が生えた程度のものだった。
 ただ、星座のマークに杖をあてると内容が浮かんでくるというのはいかにも魔法界らしい。
 こういう仕組みだけなら日本にいたときインターネットで見たけど、それを普通の本でできちゃうのがここのおもしろいところだ。

 その中にはこんな項目もあった。

『運命を味方につける・今週の彼とあなた』

 まるっきり雑誌の占いコーナーじゃないか。

「今週の、読んだ?」
「いいえ」

 今回は嘘ではないようだ。

「占いなんて信じないことにしてるの」
「でも見ちゃうんだね。気になるのは分かるけど…えーと」

 ハーマイオニーの星座のところに杖をあててみた。


“今日のあなたはまさに恋愛体質!気になっているのにつれない彼も、女としてみてくれるでしょう”


「信じてもいいんじゃない?」
「…お遊びよ、そんなの」

 といいつつ、まんざらでもなさそうだ。

「こういうのは良い結果のときだけ信じればいいんだって」

 私の話に返事をせず、お返しといわんばかりにハーマイオニーは私の星座に杖を指した。


 * * * 
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