Dream(HP)2
□小部屋の前にて
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「ダンスパーティーのときもそうですよ。教師と生徒の組み合わせはさすがに目立つから、私も我慢してパートナーにもならず引き下がったんじゃないですか。
その隙をついてあの人は先生の隣にすっと入り込み、あまつさえあんなひと気のないところに呼び出して…ああっ不謹慎な!」
不謹慎なのは彼女の思考なのだが、
「ちょっと待て、どこまで知っている」
「先生のことで私が知らないことなんてありません」
レイは迷いなくストーキングしてます宣言した。
確かに彼女に観察眼はある。
これだけ目撃しておいて自分が陰で動いている意味にまるで気づかないのが不思議なくらいだが、それは妄想が邪魔をして洞察力が著しく低いためだろう。
「先生、もっと自分の身を大事にしてください。こんな狭い部屋に二人っきりで入るなんて何にもされないはずがないでしょう!?危険すぎるの分かってるじゃないですか。私なら我慢できません!」
「心配するふりをして本音を出すな!」
「わたし、先生が心配なんです…」
「しおらしく言ったところで本音が出たあとでは嘘にしか聞こえん」
スネイプは苦々しく舌打ちした。
まったく当然の反応だ。
通常の教師の仕事に加えて三校対抗試合の準備、カルカロフとの関係にも気を配らなければならない。
その上で、この思い込みの激しい少女の扱いである。
ここ一年、覚悟はしていたが、予想以上に彼の心の休まる暇は無かった。
「どいつもこいつも、我輩に余計な手間をかけさせおって…」
「先生、私のがまだマシですよ。先生になら襲われる側でも構いません」
「そういう問題ではない。むしろある意味ではお前が一番やっかいだ」
スネイプはレイの寮に1点減点、と告げた。
レイは「えー」と非難の声をあげたが、どことなく嬉しそうで、それは彼女の行動を抑えるのにはまるで効果がないことを暗示している。
減点すら彼の気休めにすらならない今、スネイプはただただ深いため息をついた。
End
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