Dream(HP)2

□小部屋の前にて
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 たった今閉じたところなのに、3度のノックがあった。
 スネイプは棚にポリジュース薬の瓶を戻し、外にいる音の主に声をかけた。

「ポッター、もう話は終わりだ。お前に用はない」

 開いた扉の向こうには、彼が説教した眼鏡の少年の姿はなかった。
 その代わり、なにか思い詰めた顔の少女が立ち尽くしていた。

「…コーリ」

 何か用か、と二の句を継ぐ前に彼女の方が口を開いた。


「大丈夫ですか、先生」
「は?」
「落ち着いてください、もう安心ですよ。どこか痛むところは?」
「怪我はない」

 スネイプは、妙な予感をうっすらと背筋あたりに感じていた。
 危険ではないが、避けたほうがいい。そんな予感。

「何の話か分からん、我輩にも理解できるように話しなさい」
「だって先生、カルカロフと一緒に居たんでしょう?この部屋に。ハリーも見たって」
「…それで?」
「あんまり口に出して言いたくないんですが…襲われたんでしょう?」
「…は?」

 彼女は真剣そのものである。

「体は無事でも心に傷をおってしまったんじゃないですか?私もう心配で心配で」
「待ちなさい、お前はなにか勘違いを」
「いいんです、言わなくても分かります。トラウマは癒していけばいいんです。私もお手伝いしますから」

 慈愛に満ちた、しかし有無を言わせない強引さで微笑んだレイは、次の瞬間凶悪なほどに顔をしかめた。

「それにしてもあの野郎…先生をこんなめにあわせやがって…」
「誰のことだ」
「決まってるじゃないですかカルカロフですよ!」

 予感的中。

 スネイプはレイに負けじと顔をしかめた。

 それに気づかず、とうとうと語り出す少女。

「だいたいあいつ最初っから気にくわなかったんですよ。大広間でなぜわざわざ先生の隣に座ったんですか?」
「だから、我輩と彼は旧知の仲で」
「にしても二人の距離近くなかったですか?かいがいしく水差しとか手渡したりして」

 あのとき引き離しておけばこんなことには…と、苦々しくレイは舌打ちした。

 
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