Dream(HP)
□Tea 2
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男は決して鈍い方ではなかった。
むしろ神経質なほうで、やろうと思えば並の女性より細やかな気配りができるほどだった。
性格上、現実にはありえなかったが。
そんなわけで、彼女の変化に気づくのは当然であった。
ふわり、と、たちのぼる香り。
それはバラであったりレモンであったりイチゴだったりしたが、数日おきに会うたび異なっていた。
もちろん鋭い彼には、最近になって始まった理由の察しもついている。自身のためではない、誰かのためだ。
彼女の様子を見る限り、それは正しいようだった。
確実に外見に気を使うようになっていたし、笑顔になにかしら輝くものが備わっている。
そういうこともあるだろう。彼は思った。
ここに来て7年、子供は嫌でも成長する。その間にはそういう時期も通過する。
教育に支障が出るなら規制せねばならないが、何もないなら特に教師が出しゃばることでもない。
その点彼女は真面目で品行方正だ。節度というものを知っているので、行き過ぎることを心配しなくても良い。
そう思っていた。
授業などの受け答えで判断する限り、何も問題はなかった。
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