Dream(HP)

□バックギャモン
1ページ/9ページ

◆Start:グリフィンドール寮談話室


「おはよぉう…」

「おはよう、レイ。…もう昼だけどね」

「あ、そうなの?今日まだ時計見てない」

 11時かあ、とのんきに声を上げたレイを見て、ロンはため息をつく。

 彼女のあだ名は「眠り姫」。

 休みともなればいつも昼まで寝こけているのが理由その1。


 その美貌をまったく自覚せず、おまけに恋愛感情の受信アンテナが壊滅的に鈍い。

 まるでイバラに取り囲まれているがごとく難攻不落なのが理由その2だ。


「何読んでんの」

「クィディッチのコツ。最近フォーム変えてみたんだけどしっくりいかなくてさ…」

 覗き込むレイを見てロンはふと気付く。


 これはもしかしなくても、

 チャンスなんじゃないのか。


「あの、もしよければ……フォームとか見てくれない?」

「いいよ」

 駄目元のつもりだったのに、レイはあっさり頷いた。

「ほ、ほんと!やったあ!!」

 嬉しさの余りロンの顔が真っ赤になる。

「でも私、あんまり詳しくないよ?」

「いいんだ、君が見てくれると…その、やる気が出るから……」

「やる気?」

 分からない、と言った様子で首を傾げるのを見て、ロンの口は軽くなった。

「だからね、つまり、僕は君のこと……」




「「とても応援のうまい子だって思っているのさ」」




 背後から唐突にステレオ音声。


「フォームなら俺達が見てやるぜ。な、フレッド」

「そうとも、俺達の方がずっと詳しいしなジョージ」


「げ」


 今の状況で最も来てほしくない奴らが来てしまった。


「げ、とは何だ」

「そうかそうかそんなに俺達に会いたかったのか」

 にやりと笑いもシンクロする。


「私って応援うまかったの?」

 知らなかった、とレイはつぶやく。

 寝ぼけているようだが彼女の素なのでご了承いただきたい。

「もちろんさ我らがお姫さま」

「君がいればロンが百人いるよりずっと強力なんだ」


 二人に手を取られつつレイは答える。


「…いつも思うんだけど、姫ってあだ名はいかがなものだろうか。私のキャラに合わない気が

「そんなことはないさ!眠り姫」

「つまりぐうたらなだけ

「ものは言いようって言葉があるんだぜ、レイ」

 冷静な突っ込みは阻止される。



「…何がしたいの?」

「いつも通りの護衛だよ」

「俺達の楽しみを奪わないでくれ」



双子は深々とお辞儀をした。



「我らナイトにお任せを」

「悪い虫は決して近づかせませぬ故」



「…どっちが悪い虫だ」

「おぉーっとまだ居たのかロニー坊や!」

「お兄ちゃんと一緒に楽しいクィディッチの特訓をしようじゃないか!」

「ええっ!いいよ別に!って強制連行なのか!?」

「もちろんだ。お前から言い出したんじゃないか」

 両腕を掴まれたロンはもがいたが、見事な連携プレーの前に勝ち目はない。

「だってあれはレイが…」

「なあロン」

 声を潜め、双子はロンの耳元で楽しげにささやいた。

「確かに俺達も今すぐレイを落とすのは無理だ。それは分かってる」

「でもだからって、みすみす他の奴に渡せるとでも?絶対やだね」

「ってことでよく覚えとけよ」




「「俺達を敵に回すと怖いってことを」」




いつも通りだ。何も変わらないいつもの口調のままだった。ただ、


…目だけはマジだったらしい。



「じゃ、軽く行ってくるから!」

「姫はまあゆっくり待っててよ!」

 双子はさわやかな笑顔をレイに向けてから、怯えるロンをかついで風のように走り去っていった。




 残されたレイはというと、しばらく見送った後、




「…おなかすいた」



 双子の思惑完全無視で行動開始。

 談話室を出ていったらしい。






◇ロン…兄貴という名の壁は高い・一回休み
◇双子…君達の網には穴が開いてる・2コマ進むが「2コマ戻る」マスだったため変わらず
◇レイ…姫さまはフリーダム・3コマ進む

→Next
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ