Dream(HP)
□Broken
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「…はあ」
彼女は珍しく溜め息をついた。
「どうかしたのかい」
「ラブがブロークンです、先生」
「…なんだって?」
むしろブロークンなのはレイの英語だが、ここに来てたった半年なのだから仕方がない。
「失恋したのかい」
「違いますよ、正反対」
「わたくし、ある人を好きになってしまいました!」
「…はぁ」
今度はルーピンがため息をつく番だった。
「…それを言うならフォーリンラブ。『恋に落ちる』だ」
「あ、なるほど」
「基本の慣用句だよ、残念ながらまだ勉強が足りない」
「すみません…ありがとございます。…ん?」
紅茶を受け取ったので、なんだかちぐはぐなセリフになったことにレイは首を傾げる。
それを見てルーピンは笑みを深めた。
「で、お相手は?」
「わぉ、聞くんですか先生!」
「だってのろけたいからそんなことを言うんだろう?」
「…おみとーしっすか」
レイはにへ、と笑って、話し始めた。
「将来は闇払いになりたいんだそうです。かっこいいでしょ」
「ふーん」
「でも好きなのはチョコレートで、嫌いなのはピーマンなんだって。かわいい」
「そうだね」
けれどルーピンはずっと、紅茶の葉がカップを泳ぐ様子から目を離そうとはしない。