Dream(HP)

□The JINX
2ページ/2ページ

 






「コーリ、お前はグリフィンドールの中でもマシな方だと思っていたがな」

「…すみません」

「わけを言え」

「えー…と」

「どうした。謝るしか能がない訳でもあるまい」


 言えませんから。

 あなたに見とれてました、とは、さすがに。


「…言わないのですな。処罰をお望みのようだ」

「あ、いやあの、寝不足で集中力欠けてました!」

「…なるほど?」


 じと、と睨まれる。この時ばかりは例え吸い込まれようとも目を反らしてはいけない。

 やがて小さくため息をついて、教師は言った。

「以後よく気をつけるように」

「はい、本当にすみませんでした」

「まったく、本末転倒とはこのことだ。聞くのに熱心なのはいいが、授業のときは勉強に集中したまえ」

「え?」

「まさか我輩が気付かないとでも思っていたのかね」

 薄い唇の端が、うっすら上がった。

 声は続いた。

「お望みならばもっと近くでお聞かせするが?」

 そつなく白い手は動き、私の肩を手繰り寄せた。

「ここなら聞き漏らすこともあるまい」

「先生、ち、近…」

「いいかね、見とれていたのはお前だけではない」

「へ?」

「まだわからんのか」

 眉根を寄せた。が、すぐにゆるんだ。

「まだ遠いということか。ならば近づくだけだ―――もっと、近くにな」





「…先生、わかりました……」

「ようやくかね?」

 何も言われなくともこの姿勢なら気付く。

 確かに私は鈍かったかもしれない。

 腕は背中に。

 黒一色で、体をすっぽりと包まれているのを感じる。









 耳のすぐ横から、





「では、この続きを教えて差し上げよう」






 呪いが、響いた。





End.
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ