Dream(HP)
□Restaurant Dinner
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「いや先生、いくらなんでも突然すぎですからっ!」
私は首をぶんぶん横に振る。
「ならばなぜついてきた」
「そりゃ『ついてこい』って言われただけでしたし?一緒に食事するなんて知りませんでしたし?先生が誕生日だなんて知りませ…」
「嘘だな」
スネイプはなぜかそう言い切って、
「いつ渡してくれるのかね?」
奇妙な笑みを浮かべた。
「…なんのことですか」
「とぼけても無駄だ。我輩には分かっている」
男はなめらかに立ち上がる。
黒いローブがさらりと揺れて、
耳元にあの、低い声。
「我輩へのプレゼントだろう?
…あの緑色の包みは」
「…ちゃんと隠してたのに…」
「もっと透明化魔法を学んでおくべきだったな」
スネイプは満足げに笑みを浮かべながら席についた。
「我輩が言わなければ、持って帰っていたのかね」
「帰り際に押し付けてましたよ」
できるだけ不満そうに見えるように私は言った。
「だから言っただろう。我輩が振られるなど、万が一にもないと」
――さっきまで、酔っ払いおやじだったクセに。
悔し紛れにそんなことを思ったけれど、残念なことに、一度真っ赤になってしまった顔はなかなか元に戻ってくれない。
***
「さて、場所を変えるとしよう」
「場所変え!?」
赤い顔は治った。
代わりに青ざめる。
「却下―っ!」
「安心したまえ、プレゼントを見せてもらうだけだ」
抵抗する私の肩をあやすように抱き、甘い声で囁いた。
「我輩は紳士だからな」
――ただしそれは、
『勢いづけ』のない、普段の時の話だが。
レストランは騒がしいものだ。
付け加えられたほんの小さな呟きが、私に聞こえるはずもなく。
end.