Dream(HP)
□Restaurant Dinner
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饒舌ナルシストの魔法は切れてしまったらしく、スネイプは徐々に、独自の湿ったオーラを取り戻し始めている。
ただ顔色は健康的に赤みがさしたままなので、そこがおかしいといえばおかしい。
私はのんびりと、彼が話し出すのを待っていた。
自分から話しかけるようなことはしない。学生時代の経験から、恐怖政治に抵抗しても無駄なことは分かっているのだ。
「…まったく」
スネイプが低く呟いた。
「まったく困ったものだ。今日は誕生日だぞ」
…ええと。
こっちが困るんですけど。判断に。
それは独り言か?それとも相槌必須か?
「コーリ」
「はいぃ!なんでしょうか?!」
考えがまとまらないうちに突然呼ばれたから、見事に声が裏返った。
「今日は我輩の誕生日だ」
相槌、必要だったらしい。
「…そうみたいですね」
「のんびりと頷いている場合か」
なに、私責められてる?
なんで?
あ。
そういえば、
「まだ言ってませんでした。お誕生日おめでとうございます」
「別に祝福しろとは言っていない」
「ケーキですか?定番のあれがいいなんて…まだまだお子ちゃまですね」
「誰がイチゴショートを注文しろと言った!せめてチーズケーキにしろ!!」
さすがスネイプ大先生。日本の食文化を分かってらっしゃる。
そう感心したのもつかの間。
「誕生日なのだぞ。誕生日にこういう店で2人で食事するというのは、親しい間柄だと周囲に認めさせることと同じではないのかね?」
私は見事なくらい、固まった。
「少しは自覚しろというのに、まったく…我輩が飲みたくなったとしても仕方あるまい」
ええとそれは。
つまり。
声が出ないので目線で訴える。
大先生は見事、応えてくださいました。
「そういうことだ」
その口端にはいつもの嘲りではなく艶めいたものが含まれ…って先生!本気と書いてマジですか−っ!?