trash

元親×かすが
1ページ/2ページ

鬼が眼帯に手を掛ける。
「驚いて腰抜かすなよ」
かすがは息を飲んだ。
鬼の右目には黒曜石が、左目には碧玉が嵌っている。
金銀妖眼――それ故に鬼は常に眼帯で悪くも無い目を隠して来た。
暫くかすがは黒曜石と碧玉を覗き込んでいたが、眼差しはそのままで呟いた。
「――綺麗」
一瞬鬼は意外そうな顔をしたが、すぐ豪快な笑みを浮べた。
「はっは、そうかい!『不気味』ってのは死ぬほど言われたけどよ、 『キレイ』って言ったのはお前ェが初めてだぜ」
照れ臭いのかさっさと眼帯を元に戻してしまう。
「不気味なんかじゃない。お前の左目は海の色だ。陸と海と、両方の色だ」
かすがは担ぐ訳でもからかう訳でもない、真直ぐな声色で言った。
「嬉しい事言ってくれるじゃねぇか。俺に惚れときゃ幸せだったかもよ?」

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ