過去小説

□夜のお散歩
1ページ/3ページ

夜も更け、周りが寝静まったころ…彼女は物音で目を覚ました。
「…クラトス?」
彼が寝ていたベッドにはすでに彼はいなかった。
リゾート地 アルタミラ
ホテルを抜け出したはいいが、カジノや劇場もすでに終わる時間が近く、人影も疎らだった。
見かけるのはカップルばかり…
(なんか一人で歩いてるのがむなしいわ…)
ホテルに引き返そうとしたそのとき、一人だけの人影を発見した。
やはり…クラトスだった。

「…どうしたの?クラトス」
ふと、気がつけば自然と声をかけていた。自分でも不思議に思うくらいに
「…リフィルか…こんな夜更けにどうしたのだ?」
あいかわらずの返事が返ってくる

「…いえ、目を覚ましたらあなたがいなかったから…。」
「そうか…起こしてしまったか。悪かったな。」
しばしの沈黙…波の音だけが二人を包んでいた。
「また…私がいなくなると思ってたか?」
少し笑ってクラトスが言った。
「……大丈夫だ。今度は簡単にいなくなったりはせん。」
「…クラトス」
月の光が優しく二人を照らしていた
「…リフィル…お前はどうして裏切った私に前と同じように接しているのだ?」
突然の質問に彼女はしばし間をおいて言った。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ