過去小説
□仲直り
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「左近の奴…今度こそは許さない…」
ご機嫌斜めな三成。
左近と喧嘩をした
否…
左近が言ったことに勝手に自分が腹立ててるだけで、左近のほうは笑って聞き流していた。
しかし…当分は顔をあわせたくはない…むしろ…顔をあわせられないのだ。
素直に謝ればいいものを…
悲しいかな感情表現は全くダメで…
素直になれなくて…
その時、ふと昔を思い出した。
――…
「おや、また正則たちと喧嘩をしたのかい?…まったく…困った子達だね。」
幼い頃…三成は正則や清正達とよく喧嘩になった。
その度にねねは(仲直りできるように)と、お守りを作り、三成に持たせていた。
(正直こんなものに頼らなきゃいけないのが気に食わんが…)
過去の記憶を頼りに自分でお守りを作ってみた。
呪文も紙のたたみ方もかなり大雑把だが、形だけはできた。
素直に謝ることができない自分にとっては、あとは神頼みしかないと思った…
しかし、このお守り…作り方を間違えると大変なことになるという事は三成は知らなかったのである…
(左近と仲直りできますように…)
そう想いを込めたお守りを三成は一日中離さずに携帯した。