02/12の日記

12:22
しろいとり
---------------
彼女がうたた寝から目覚めると


大切にしていたトリが逃げ出してしまった


トリカゴのネジは錆び付いていつの間にか扉が開いていた


いつからこんな風になっていたのだろう?


大切に大切にしていたのに

どうしてこうなるまで気づかなかったのだろう?


ずっとしっかり見ていたつもりだったのに


すぐ目の前にいるのに手を伸ばしても届かない


これ以上近づくこともできない


走って走って追い掛けても

彼女には羽根がないから


飛ぶことができないから


ただただ見ているしか出来ない


ただただ祈るしかない


トリは青空を自由に飛び回る


高く高く太陽に向かい


風に乗って真っ白な羽根を広げ


どんどんどんどん飛んでいく


だんだん小さくなっていく

太陽の中に消えていく


そこには変わらず青空が広がっていて


彼女はひとり立ち尽くす


何も出来ずに立ち尽くす


空から何かが孤を描き


ふわふわふわふわ落ちてくる


彼女の掌に一枚の羽根が舞い降りた

次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ