遊戯語り
□拍手集
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「鉄人、一緒にお昼ご飯食べるでしゅー」
「自分も同席してよろしいでしょうカ隊長ドノッ!」
「いや拙者が」
「リカもご一緒したいですゥ」
『……またやってるよ』
昼休み、今日も3‐Cは他クラスの生徒で大盛況である。理由は単純明快、とある生徒に逢いに来ているのだ。
それは《転校生》。彼が数ヶ月前にいきなりやって来てから、どんどんおかしな輩が3‐Cに寄って来るようになった。
(人徳なのか、類友なのか)
……後者っぽい。何故なら大量の黒板消しを抱えて走って帰るのが目撃されているから。
(さて今日は誰が射止めるかな)
「ねぇ」
(フェミニストみたいだしリカちゃんかな)
「ねぇって」
『……うわ!?』
考え事に一応の決着をつけて現実に帰って来ると、目の前に渦中の人がいた。
「昼。一緒に食わない?」
爽やかな笑顔で言ってくれる。……なんですと!?
『何故に私!?』
「いつもこっち見てるから気になってて。……いつ言い出そうか迷ってたんだけど」
照れくさそうに頭をかいて言う姿は普通の好青年だったが、私の心中には嵐が吹き荒れる。
(墓穴……!!)
面白がって観察してたのが裏目にでた。まさか気付かれ、あまつさえ気にされてしまうとは。
「……駄目かな?」
『うっ』
そんな仔犬のような目で見ないで頂きたい。なにか悪い気になる。
『……分かった。でも、来てる皆も一緒』
言うと、心底嬉しそうに笑われた。
「ありがとな、気にしてくれたんだ」
そして思いっきり抱きつかれる。
(ひいいい)
この外国帰り!そして言えない、2人じゃ気まずいから多人数が良かったなんて!
……でも、こうして構われるのも決して悪くない。
仔犬のような瞳で笑うのを見て、そう思ってしまう。
その時点で、私もおかしな輩なのかも知れなかった。
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