君に届け
□君に出会えた
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あなたに出会えたことで、私の世界はこんなにもこんなにも、美しい色に輝いた。
「…くろぬま?」
どうかした?
思いの外近い距離。じっ、と覗き込まれる瞳に、体温が上がるのを感じる。
(だ、ダメ…!)
「な、何でもない…です…!」
「ホントに?」
「ああああの!あんまり見られると、恥ずかしいから…!」
「…見せてよ、もっとたくさん」
優しく笑う風早君。その笑顔に、何気ない風景まで変わったようで。
「黒沼の笑った顔も、恥ずかしがってる顔も、たくさん俺に見せてよ」
「…っ」
「俺も知りたいんだ。黒沼の初めても、俺がまだ知らない顔も、全部」
「…私にとっての初めては、全部風早君だよ」
誰かを好きになったのも、誰かを独り占めしたいと思ったのも、
――こんなにも幸せだと思えたのも、全部全部。
「風早君と一緒にいると、私、いろんな初めてに出会えるんだよ。だから私の初めては、風早君なの。風早君が、いてくれるからなの。だから、ありがとう」
「…黒沼って、時々さぁ」
「な、何でしょう…!」
「ぁー…うん、つまり俺も、黒沼には負けられないなってこと!」
「え、ま、負け…?」
「俺も、もっと良い男になるよ」
「そ、そんな…!」
風早君がそれ以上立派になったら、私はどうすれば…!
訴える私に、風早君は少し驚いた後、あはは!と笑う。
可愛い笑顔に、またぱっと、世界が輝きを増す。
あなたに出会えて、私の世界は変わったよ。
色付く世界
これからどんな世界を、あなたと見て行けるのかな。