NovEl

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『おい』
『ん?』
『ん?じゃない。お前は何をしている』
なかなかコイルが部屋を出て行こうとしないので、3人は下におりたのだが、(オディールのあとに2人がついてきただけだが…)何故かコイルが無断で自分の家のように冷蔵庫をあさり、アイスを3本持ってきて、オディール達に差し出したのだ。
『何って?アイス…喰わねーならオレ喰うけど?』
『違う。何故お前は勝手に人の家に入ってきて、勝手に人の家の冷蔵庫をあさっている』
『へへッまぁ固いこと言うなょ〜』
この脳天気さにオディールは今にも怒りが爆発しそうになっていた。
『ぁの…コイル様…何か事情があって来られたんですか…?』
リオンがオディールの顔色をうかがいながら恐る恐る尋ねる。
『いやぁ別にッちょっと観察に来ただけだ。それょかさぁー遊園地行かねぇのかよー』
『聞いてたんですかッ!?』
『おぉッバッチリとなッお前ら行かねぇならオレ行こうかなぁ〜』
コイルがオディールの顔を覗き込みながら言う。
『私は行かん』
えーとわざとらしい声を出してオディールの肩を揺らす。が、オディールはすかさずそれを払い、席を立った。
『師匠!?』
『リオン早くこいつをなんとかしてくれ。私は眠いんだ』
『えッあッすみま…』
『いぃのかなぁーそんなこと言ってぇー』
リオンの言葉を遮ってコイルは椅子からたちあがりながら言った。
『はぁ?』
『ふふーんッ』
コイルが嫌がるオディールに無理やり顔を近づけ、耳元で何か囁いた。
その瞬間、オディールはカッと目を見開いてコイルの顔を見上げる。
コイルはニコッと笑っている。
それからしばらくの間をあけて、オディールはものすごくゆっくりと、曇った声でわかったと言うと、ズカズカと階段を上っていった。

上でドアを閉める音が聞こえると、コイルはシッシッ単純な奴ーと笑って、またアイスを食べはじめた。
何を言ったのだろうか。気にはなったが、リオンは何も聞かなかった。それよりまず、オディールと遊びに行けることが嬉しかった。今まで長い間師弟の関係だったが、一度たりとも遊園地など行ったことはなかったのだ。
修行のために遠出して旅館などに泊まったことはあったが、遊びに行くことなどまずなかった。
だから内心コイルに感謝している。
『ほんじゃぁオレは帰るかなッ』
大きな伸びをしながらコイルが言った。
『えぇっ!?一緒に行かないんですか!?』
『え?何で?』
『何でって3人で行くために師匠も誘ったんじゃ…』
『へぇーそうなんだぁー』
わけがわからない。何しに来たんだこの人…。
リオンの胸底でそれらの疑問が渦巻く。
『いぃじゃんッせっかく遊び行くんだから2人で行ってこいょッ』
コイルはにこやかにリオンの肩をポンポンと叩く。
『意味がわかりませんッ絶対無理ですよぉそんなのッ』
『んでだょぉーさっきは2人で行くつもりだったんだろー?』
『ちっ違いますよッ〃!師匠に了解をもらえたらコイル様も誘おうと…』
『リオン……お前は可愛い奴だな…』
コイルは涙声を真似て、リオンの頭をわしゃわしゃと撫でた。
 

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