えるりっく君ち

□二人乗り
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アルフォンスは自転車を降りてサドルを腰で支えながら電車を見ている。
踏切の音と電車の音で耳が痛い。

「怪我してごめんな、アル。」

ぼそっとエドワードがアルフォンスの背中に言う。

「何?」

聞こえないと思ってたエドワードはビックリして目を丸くする。

「なんでもない。」
「えぇ?なに?」

踏切と電車が邪魔をする。

「いいって!」
「な、に?!聞こえないよ!」
「…ありがとな」
「何?!」
「もういいってバカアル!」

電車が通り過ぎ、踏切も開く。
アルフォンスは自転車を押しながら言う。

「バカっていう人がバカなんです〜。」
「なんだお前聞こえてたんじゃん!」
「バカアルってとこだけね。」
「あ、それ撤回するからスピード上げてくぞ。時間ヤバい。」
「え?何時?」
「8:30」
「うわっ!ヤバい!また立ち漕ぎしなきゃ!」

アルフォンスは慌ててサドルをまたぎ、立ち漕ぎをはじめる。

「がんばれアル!」
「ん。…がん…ば、るよ。にい…さん、あ、りが…とね。」
「え?」
「たす…けて…く、れた…でしょ?」
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