えるりっく君ち

□オレのおとうと
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『オレのおとうと』


「アル〜ちょっとちょっと〜!」

昼休みにアルフォンスのクラスにウインリィがやって来た。

「何?どうかした?」
「見て見て〜!」

ウインリィの手には色の変わった古い冊子。
表紙には『リゼンブール小学校文集』と書いてある。

「ああ…あの作文ね。ボクのも恥ずかしいけど、兄さんの方がよっぽど…」
「はぁ?何言ってんの?アルは載ってないわよ。」
「は?」
「だってあたしとエドが1年生の時のだもん。アルのが載ってるわけないでしょ。」
「あっ…ウインリィと兄さん1年生のなの。」
「なぁに〜?2年生の文集?…探してみようかしら。」
「いや!探さなくていいから!たいしたことないから!ほんと。ねっ!これ見せて。」

アルフォンスはウインリィの手から文集を受け取る。

「1年生…っと。あったあった。」

『オレのおとうと』
1ねん エドワード・エルリック

「あの学校って毎年家族の作文なんだね。」
「それはアイツだけ。」
「あ…そう…なんだ。ははは…」

『オレのおとうとはアルフォンスといいます。みんなアルとよびます。』

「あ、以外と普通。」

『アルはくいしんぼです。ごはんもいっつもおかわりします。』

「この頃から言われてたんだボク…」

『まえにおはぎを1日に11こもたべました。』

「この間話してたひなまつりの時じゃない?」
「う〜ん。わからないな。おはぎの時はいつもそのくらい食べてたから…」
「…」

『オレのきらいなものもたべるので、いっつもたべてもらいます。』

「あ〜あ。ダメな兄さんだなぁ。」

『アルはいっつもオレのあとをついてきます。みんなからキンギョのフンといわれます。』

「ははは」

『アルが「フンってなあに」ってきいてきたから「アルのこと」っていいました。』

「ええっ!」

『そうしたら「フンだ」「フンだ」ってよろこんでておもしろかったです。』

「兄さん…」

『そうしたらそれがばれてお父さんにおこられました。』

「そりゃそうでしょ。…この頃はまだお父さんって言ってたんだ。」

『このまえお母さんがしんだとき、アルはいっぱいなきました。オレもすこしなきました。』

「…」
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