えるりっく君ち

□風邪ひきアルフォンス
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『風邪ひきアルフォンス』


嵐の夜が過ぎ去り、風邪気味のアルフォンスは渋い顔をしていた。

―まずい…これはヤバい。節々が痛い。クラクラする。これは多分…

『インフルエンザ』

―気をつけてたのに。ボクが病気になったら…。

「アル、具合悪そうだな。大丈夫か?ほら寝てろ。あとはオレがやるから。毛布もう一枚出すか?」

―出た。『世話やき兄さん』。いつもボクがなんでもやっちゃうからわりと任せっきりなのに、ボクが具合悪いと絶対ものすごく世話焼きたがるんだ。

「大丈夫。すぐ寝るよ。」
「薬飲んだのか?」
「ううん。この感じだとインフルエンザだと思うんだよね。検査って熱出てから12時間たたないとわからないから、明日学校休んで病院行くよ。」
「オレも休んで付いてくな。」
「大丈夫。兄さんは学校行って。」
「いや、休む!休んでアルの看病しないと!」
「大丈夫。心配しなくてもおとなしく寝てるから。」
「いや!休む!オレいないと心細くてアル泣いてるといけないしな。」
「あの…ボク15才なんですけど…」
「おう。オレは16才だからな。なに当たり前のこと言ってんだ?」

―ダメだ。もうスイッチは切り替わってるらしい。言い合いする気力もないし…。

「寝ます。」
「おう。後で『冷えピタ』と『ポカリ』持ってってやるからな。」

―ものすごいやる気だ。絶対ちょっと面白がってる。

「ボク、インフルエンザだと思うからあんまり部屋にこない方がいいよ。うつるから。」
「いや大丈夫!オレはほらにいちゃんだし、インフルエンザなら毎年かかってるから免疫あると思うし。」

―『毎年かかる』人が『免疫』あるわけないでしょ。『にいちゃんだし』ってのもわかんない。

突っ込む気力もなく、フラフラと部屋に行くアルフォンス。パジャマに着替えると半分倒れ込む様にベッドに横たわる。

「アル〜『冷えピタ』と『ポカリ』持って来たぞ。」
「…ありがとう。早いね兄さん。」
「さっきダッシュでコンビニ行って買って来た。」

アルフォンスに向かって親指を立てる。

―なんて嬉しそうなんだ…

「アル、なんか食うか?お粥とか…」
「要らない。」
「そう言うなよ。リンゴ剥く?ウサギにする?する?なんか食った方がいいぞ。体力ついて早く治るし。」

―30分前にご飯食べたよ、兄さん…
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