えるりっく君ち
□兄弟喧嘩
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『兄弟喧嘩』
「もういいよ!勝手にしなよ兄さん!!」
そう言ってアルフォンスはライダーズジャケットを手に持ち、スニーカーのかかとをふんだままで乱暴にドアを閉めて出て行った。
普段のアルフォンスではけっしてありえないのだが、怒りがありえないレベルにあるのだ。
―クソ〜!アルの奴!ちったぁにいちゃんの言う事聞けってな。
「兄さんにはわからないよ。」
だぁ?バカにすんな!オレだって色々考えてんだ!
…でもアルがあんなにムキになって怒るようなこと、言ったか?
アルフォンスは怒っていた。少し離れていてもわかるほどの負のオーラ。いつもなら呼ばなくても寄ってくる猫たちも、おびえて遠巻きに見ている。
「寒い…」
あまりの怒りに我を忘れて飛び出した時に手にしたのは…エドワードのライダーズジャケット。
「着られないし…。財布くらい持って来ればよかった。」
アルフォンスはため息を付いてジャケットを持ち替える。と、ポケットからコインが数枚転がり落ちる。