分家
□sweet candy
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『sweet candy』
「うわぁ!ありがとう兄さん!」
アルフォンスの手にはブルーのリボンがかかった小箱。
「開けて良い?」
アルフォンスは小首を傾げてエドワードを見る。
「おう。もうやったもんだから好きにしろ。」
「うん。」
リボンを解き、淡いブルーの包み紙を開けると可愛らしいレースの模様が付いた小箱。中を開けるとそこにはカラフルな小さくて丸いキャンディがタップリ詰まっている。
「わぁ!かわいい!美味しそうだね。」
アルフォンスは赤い小さなキャンディを一粒摘みあげて光りにかざす。
「ちょっと透き通って表面の砂糖も反射して綺麗だよ。」
「ん?」
エドワードもアルフォンスに顔を近付けてキャンディを見る。
「あ〜ん」
「?」
半開きだったエドワードの口にキャンディが転がり込む。
「美味しい?」
「おう。」
「ボクも食べよう。」
そう言うとアルフォンスも赤いキャンディを一粒摘んで口に入れる。
「ほんとだ。美味しいね。」
幸せそうに満面の笑みを浮かべるアルフォンスにエドワードが言った。
「なぁアル、プレゼントついでだ。今日一日オマエの言う事なんでも聞いてやるぞ。」
「ええっ?兄さんどうしたの?」
「どうしたのって…たまにはにいちゃんらしく…」
アルフォンスはクスリと笑う。
「ほら、いっつもアルがにいちゃんだと思われてたろ?…その…オレ…ち…ちいちゃ…ゲホン。今はほらどう見てもオレがにいちゃんだろ?背も高いし。年だって5つも上だ。」
「背は5cmくらいだけどね。」
「バカ。その5cmが大事なんだぞ!」
「ああ、はいはい。」
「だから今日はにいちゃんらしく、アルの言う事なんでも聞いてやる事にした。」
なにやら偉そうなエドワードにアルフォンスはちょっと苦笑い。
―バレンタインデーにボクはチョコ以外にも色々プレゼントしたのに、自分はホワイトデーも忘れてた上にもう何日も過ぎてるからね。
「うん。じゃあそうするね。」
「よし、最初の願いはなんだ?」
「それじゃあランプの精だよ、兄さん。」
「そっか。じゃあ……どうしたい?」
「う〜ん、そうだなぁ…一緒に買い物に行きたい。」
「そんなんでいいのか?」
「うん。とりあえずは…ね」
アルフォンスはニッコリ笑ってエドワードを見た。