分家

□HalloweenNight<狼の憂鬱>
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『Halloween Night』

こんにちは。
ボクはアルフォンス。ボクは狼男と猫娘(こちらではキャットピープルと呼びます)の間に産まれたモンスターのハーフです。
ボクは狼男の父さんの血が強く出て満月の夜だけ狼男に変身します。
ボクには1つ違いの兄がいます。
とっても綺麗で頭が良くて…ボクの大好きな兄さん。兄さんは母さんの血が強く、満月の夜には金色の猫(大きさから言うとピューマだけど)に変身します。
数ヶ月前の満月の日、僕らはモンスターの姿で結ばれて、それ以来満月の夜は月明かりの下で本能を開放します。

兄さんは言います。

「オレ達はモンスターだから、いろいろ溜め込んで人間を襲ったりしちゃいけない。満月の夜くらい本能を開放してやらないとな」

確かに。兄さんの言うことは正論です。
普段は人間と変わらない姿をして、人間として生活しているけど、いつモンスターの血が騒ぎ出すかわからない。小出しにしておけばそこまでひどくはならないんじゃないかって。

でも、ボクはモンスターの本能で兄さんを抱きたいんじゃないんだ。

牙のない口でキスしたい。肉球じゃなく兄さんに触れたい。金色の毛に覆われていない兄さんも見たい。爪で傷つけない様に抱きしめるんじゃなくて、ギュッと抱きしめたい。

兄さんにとってはボクは満月の夜だけの相手なのかな。



「アル、これつけみて」

放課後、ボクが所属している映画サークルで衣装メイク担当のハンナが、ボクの手に何かを被せた。毛むくじゃらのそれはボクが狼男になった時の手にそっくりだ。

「これは?」
「今度の映画で狼男が出てくるから作って見みたの。狸の毛で出来てるの。ちょっと本物みたいでしょう?」
「狸なの?ほんとだね、本物みたいだ」

ボクの毛は狸みたいなのか…

「あと耳でしょう、牙でしょう、後はメイクで完璧!」
「そうだハンナ、今度のハロウィンパーティにこの格好で映画の宣伝したらどうかな?普通の仮装に混じった方がよけいにすごさがわかるよ」
「そうね、じゃあアル、協力してくれる?」
「ボクが?………いいよ」

ほんとの狼男が狼男の仮装だなんて馬鹿げてると思ったけど、ちょっとしたアイディアが浮かんだ。


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