Novel 2

□涙を流す夜
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ザァアアア…



雨が降る真っ暗な外を見る。



手術日、前日…


不安過ぎて、


なんだか胸がドキドキする。



あり得ないくらい…


自分じゃないみたい…





いつも、部員に向けている、


あの胸を張った自分は


居なくなろうと…


しているのかもしれない。





恐い、哀しい…





震える身体を無理に動かし、


棚から携帯を取り出す。



AM1:00。


こんな時間、



アイツは、起きてるのかな……?



携帯の履歴からたどると

ある人物に電話を掛ける。




ッ……


3コールほど鳴って、


相手が出る。





「…………真田…??」




『…幸村、か…どうした…』



明らかに、寝起きの声。




「ごめん…寝てたよね?」



『かまわん。…どうした?』



「………急に、ね…真田の声が聞きたくなってね?」



『うむ…』



「明日ね、手術で……」



『…………。』



「…恐いんだぁ…なんだか、急に、寂しくなっちゃって…なんだかねッ…独りぼっちになったみたいに…」



『……幸村……』



「俺、早く…戻りたいッ…早く、テニスしたいッ…はやく…




真田の隣に並びたいッ…」



『…安心しろ。…今すぐ、行ってやる…』



「え」



『というより…』




ガラッ




「…………心配で来てしまった。」



俺、なんか恥ずかしくなってきた…



「真田…ズルい…」



「……俺からしたら、お前も十分ズルい。」



ベッドの上、真田がいつも以上に抱き締めてしまうから…




「ふっ、うぅ…さぁ…なだぁっ……おれっ…!」




「………泣きたいなら、俺の中で泣け。いつでも、呼べ。

お前の為ならすぐ傍に来てやる。」



ズルい…



「ふっ…えっ………げぇんちろっ……」



傍に居て。



離れないで。




今日だけ



いっぱい泣かせて…



明日から、その分笑うからっ………






END
 

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