BooK

仁王
1ページ/2ページ







今日は一年の中
で二番目に最悪
な日。正直怠い
「…はぁー。」
自分の下駄箱を
開けて早々憂鬱
だ。今日はホワ
イトデーやない
んか。普通女子
が受け取る、お
返しの日じゃな
いんか。   
「おや仁王君、
お早うございま
す。」    
「お早うさん柳
生。…ああお前
さんもか。」 
柳生の腕にはラ
ッピングしてあ
る得体の知れな
い物達がある。
「仁王君はバレ
ンタインにも沢
山女性から頂い
たのにホワイト
デーも、となる
と持ち帰りが大
変ですね。」 
柳生は心底同情
している表情を
見せる。悪い柳
生。俺はいつも
ブン太にあげて
帰ってるぜよ。
「では仁王君、
お先に失礼しま
すね」    
柳生は持ち帰る
んか。偉いぞ。
「あ、おはよー
仁王。」   
すぐ隣から声が
して見ると同じ
クラスのゆめ#。
こいつから貰え
ればどんなに嬉
しいだろうか。
「ああおはよう
さん。」   
「うわ!!その山
すごいね…でも
いつもブン太に
あげてるからま
さか今日も?」
どうせそうする
んでしょとでも
言いたげな顔を
するゆめ。  
「なんじゃわか
っとるんか」 
「だっていつも
そうしてるし」
「やってあんな
量を食い切れた
らブン太並みじ
ゃしな」   
「あははそうい
うのわかるよ」
ゆめと話をして
ると楽しいし気
が楽。そこら辺
の女とは違う所
が俺は好きだ。
「じゃ、またね
仁王。」   
「おうまたの」
また、っていつ
じゃまたって。
残念ながらゆめ
とはクラスが違
う。どうせホワ
イトデーなら俺
から渡せばよか
ったかの。  



□      



部活が終わって
帰ろうとしたそ
のとき、校門に
ゆめが立ってい
た。何か箱とに
らめっこしてて
そんな姿が面白
いかった。  
「ゆめ。」  
「え、仁王!」
バッと箱を後ろ
に隠した。  
「何しとんじゃ
こんな時間に」
「いや…まあ色
々?」    
「その後ろに隠
した箱はなんじ
ゃ」     
「これは、も、
貰ったの!」 
なんだか恥ずか
しそうにするか
ら余計に気にな
る。ブン太にで
もあげる物なの
か、そんな風に
マイナス思考に
なってしまうの
はゆめだから。
「それ、ブン太
にか?」   
「え、なんで?」
「やって…こん
な時間までここ
におるんじゃ、
テニス部以外い
ないじゃろ」 
「あ…。」  
「じゃあ…頑張
りんしゃい」 
本当はそんなこ
と思ってない。
俺はブン太や幸
村に渡してやれ
るほど強くない
「ちがう!これ
、仁王に!」 
振り返ると夕焼
け色に染まった
ゆめが箱を指し
だしてる。  
「…俺?」  
「うん。仁王に
作ってきたの」
なんだろうかこ
の展開は。ゆめは
俺に近づいてく
る      
「受けとってく
れる?」   
「……当たり前
じゃ」    
ゆめを抱きしめ
るとすげえいい
匂いがした。 
「仁王。」  
「ん?」   
「実は好き。」
「…まじか」 





(ブン太が好き
なんかと思っと
ったぜよ)  
(馬鹿仁王。) 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]