silver soul
□枯れ葉侍
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――そいつは突然現れた。
どこで拾ったのか分からないボロ布を羽織り、腰には紙を丸めて作ったチャンバラで使う感じの棒が携えてある。
そう、奴こそが、
「者共聞けえ!私こそが枯れ葉侍である!!」
うちの看板的破壊兵器、神楽だ。
「神楽ちゃーん?今日も楽しそうなことしてるねー」
「あ!銀ちゃ…じゃなくて銀侍!」
「銀侍?え、何、銀さんの新しい名前ですかねそれ」
「何を言うネ。銀侍は昔から銀侍アル」
また訳の分からないことを…
銀時は深いため息をついた。
すると、いつから居たのかわからないが、入り口で佇んでいた新八と目が合った。
「…あのーこれは一体何の騒ぎですか?」
「遅いヨ!メガネ!」
「メガネって言うなああ!」
「お前はメガネ以外の何物でもないアル」
「どんな扱いなのそれ!」
ぎゃーぎゃーと騒ぎ出すガキ2人を傍観する銀時は、また深いため息をつく。
「…というわけで、私は侍になったアル」
いやわかんねえよ!と間を置くことなくツッコミをかます新八は実に健気だと思う。
つまり、だ。
神楽が枯れ葉侍になった理由は、一種の興味であり、ただの気まぐれな遊びだそうだ(という俺の勝手な解釈だが、10割は当たっているだろう)。
「銀侍!私と剣豪にならないアルか?」
「剣豪?そんなもんになってどうすんだよ」
「決まってるアル。政府をぶちかまし「あー銀さん眠くなっちゃったーちょっと寝ようかなー」
神楽の言葉の先を思うとため息しか出ない。
こんな子に育てた覚えはないんだがなあ…どこで間違ったんだか。
まあ、親があのハゲなんだからそれ相応になるのは想像していたわけだが。
「銀ちゃん!私は侍になったアル。これからは私が銀ちゃんを守るネ」
「あーうん、それは…どうも」
適当に流すつもりで返事をしたが、目に映った神楽はどこか眩しくて、不思議な感じがした。
「任せるネ!苺牛乳の未来は私が守るヨ!」
「そこなの?!銀さんじゃなく、そっちなの?!」
「苺牛乳を守ることが銀ちゃんを守ることにつながるネ。私の持論アル」
あーはいはいわかりました。
神楽はやっぱり馬鹿だ。
こいつに勝る馬鹿はいねぇ。
本気でそう思った銀時はまた深いため息をついた。
「銀ちゃんさっきからため息ばっかりアル。不幸なやつネ」
「うるせえよ」
もともとの原因はほぼ君だからね。
こんなにまで銀さんを悩ますんだから、相当なことだからね。
なんて思いながら銀時は神楽の頭を軽く小突いた。