Tales of Graces

□信じること
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「天の川だ!」


アスベルの声に反応し、空を見上げた。
いつも真っ暗な夜空はそこにはなく、ただ光の粒が緩やかにくねりながら空を流れていた。
それはまるで、たくさんの生命のようで。
研究室の光の粒とは比べものにならないくらい純粋な光だった。


「素敵…」


この世界にはいつも驚かされる。私の知らないことがありすぎるのだ。
そして、それらを教えてくれるのは決まっていつもアスベルだった。


「綺麗だろう?あれは天の川と言うんだ」

「あまのがわ?」


よく言えました。と言わんばかりにアスベルは笑顔を向けた。
そういえば、ヒコボシサマとオリヒメサマがどうとかって教官が話してくれた。


「…ラムダとの戦いが終わったら、私たちも離れちゃうのかな」


いつかやってくる"その時"を考えると寂しくてたまらなくなる。
アスベルたちとずっとお話ししていたい。
アスベルたちとずっと一緒にいたい。


「ソフィ…」


俯いてしまったソフィをたしなめるように、アスベルはその小さな頭を優しく撫でる。

ラムダを倒してしまったら、ソフィも消えてしまうのだろうか。
それだけは絶対に避けなければ…っ




「私ね、消えてしまうことに恐怖はないよ。だって今までに何度も経験してきたから」


そう言うソフィだが、その表情はどこか悲しそうだ。
でもね、とソフィは続ける。


「アスベルたちと一緒にいれなくなるのは、やっぱり寂しい…かな」

「………。」


かける言葉が見つからない。
どんなに理想を描き、それに向かって突き進もうとも結局たどり着くのはどうにもならない現実なのだ。

でも、それでも…っ


「ソフィ、俺は諦めない。絶対にお前を守ってみせる」


今はこれしか言えない。
そこには説得力も何もないけれど、それを信じることでしかソフィを守ることができないと思ったから。
 

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