Tales of Graces

□キラキラ粒子
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あれは何だろう?

キラキラしていて
ふわふわ飛んでいく


あれは…何?

優しい光のようで、とても悲しい光






ああ、そうか
あれは私の欠片だ

そっか…
私、このまま消えるんだね

……いいよ。
おやすみ、大好きな世界。
















「……ィ!ソフィー!」


私を呼ぶ声がして、瞼を開けてみる
そこは先程の悲しい場所ではなく、綺麗に片付かれた客室だった

そして、この建物の主がいた


「ソフィー大丈夫か?怖い夢でも見たのか?」


夢…?
ああ、あれは夢だったのか
それにしてはどこか現実味があったような気がしないでもない

何故だろう
思い出しているだけなのに、目から出る得体の知れない水分が鬱陶しい


「…ソフィー、こっちおいで」


優しい声で囁かれ、招かれるがままにアスベルの腕の中に入る
すごくあったかくて心地良くて、大好きな場所だ


「ねえ、アスベル。私ね、光になったの。キラキラしててふわふわ飛ぶ不思議な光に」


うん、と相槌を打つアスベルに話を続ける


「でもね、私は気付いたの。私きっとこのまま消えていくんだろうなって…」


そう言うのと同時に、アスベルは私を強く抱きしめた













そういえば前に、教官が教えてくれたことがあった

本当に大好きで本当に大切な人にだけ言うと、幸せになれる魔法の言葉


「ねえアスベル」

貴方になら言えるよ

「なんだ?」


















「すき」





「………」


アスベルは黙り込んでしまった
今どんな顔をしているのか、抱きしめられているせいで何も見えない

魔法の言葉で幸せになれるんじゃなかったのかな

教官の嘘つき


「…アスベル、私おかしなこと言ったかな?」

「あ、いや、その…」


アスベルは何かをつぶやきながら、そっと腕の中から解放してくれた
今になってようやくアスベルの顔を見ると、顔は赤いし、落ち着きもないし、なんだか普段よりも様子がおかしい


「ごめんねアスベル。私きっと悪いことした」

「そんなことはないよ!ただ、その、ちょっとびっくりはしたけど」


そう言うアスベルはいつもの優しいアスベルだった




「魔法の言葉」

「えっ?」

「魔法の言葉なの。すきって言ってあげるとね幸せになれるの。だからアスベルにすきをあげたの」

「…そうだったのか。ありがとうな、ソフィー」


アスベルはまたいつものように頭を撫でてくれる
アスベルの手は大きくて、全部を包んでくれてるみたいで安心する
だからなのかな。自然と笑顔になれるんだ


「ソフィー」

「なに?」

「俺も好きだよ」


少し照れながらもアスベルは言ってくれた
その言葉に私が微笑むと、アスベルも私に微笑んだ





たしかに、"すき"は魔法の言葉だった


 

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