Tales of Graces

□花束に添えて
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それぞれ異なりながらも、真っ赤という共通点をもつ花々を両手にいっぱいに抱え、彼は言う


「日頃の…感謝の気持ちです」


彼の顔もまた花のように真っ赤になっていた


「ありがとうヒューバート。でもなぜこんな突然に?」

「なんとなく、ですけど…それでは悪いですか」

「いや嬉しいよ!ありがとう!」


どこか不機嫌そうに答える弟を見て、慌てて嬉しさを言葉にする

まあ実際、本当に嬉しいわけだし

なんてうきうきしながら花束を受け取る

だが…、


「…兄さんに花なんて、やっぱり変ですね」

「え?」

「似合いません。返してください」


いやいや待てよと言う間もなく、ヒューバートは俺の手から花束を奪い取る

そしてその花を優しげな眼差しで見つめた

その様子は、昔の幼きヒューバートを思い起こさせるようだ


「なあヒューバート、」

何ですか兄さん、なんて上目づかいをしてくる弟に、自分を抑えきれなくなる


「花はもういい。その代わり、お前をもらうことにするよ」


ヒューバート、俺は昔の俺ではなくなったんだよ。

なんて理由にはならないだろうか。

ヒューバートを視界に捉えながら手に持っていた花束を奪い、床に投げ捨てた

そしてそのまま弟を押し倒した

直後、聞こえてきた「兄さん」という震えた声が余計にぞくぞくさせる


「さあ、これからどうしようか」


まずはキスして抱きしめて、それから脱がしてキスをして…

弟の上に乗ったまま、俺はワクワクしていた

頭で思い描いた通りに、まずはキスをした

短めにチュッと口付けをしたがそれだけでは足らず、2回目に長くキスをした


弟の口から離れると、荒い息遣いが辺りに響いた

ごめんな、そこまで長くするつもりじゃなかったんだけどな

弟を見下ろしながら服のボタンに手をかける


「…兄さんっ!」


意識を取り戻したヒューバートに呼ばれ、手が止まる


「…兄さん、なんで、こんなことを…っ」

「こんなこと?」

「これです!今のこの状態です!見るからに普通ではないでしょう?!」

「普通じゃない?弟を愛すことは普通じゃないのか?」

「〜〜っ!自分が何を言っているのかわかっているのですか!?」


もちろんだ。でなければ今に至らないだろう

これ以上何か言われるのが面倒に感じ、よく動く弟の口を塞いだ


「んっ!……んん…ん…」


固く閉ざされた先にあるものと絡めると、ヒューバートは静かになっていった

そこでわざと厭らしい音を立てて深く、より深く絡める

離れようとするとヒューバートが求めてくるからなかなか離れられず、この状態がしばらく続いた

しかし自分の呼吸が限界に達する寸前にはやっとのことで離れた

乱れた呼吸を整えながらヒューバートを見ると、先ほどまでとは違った、普段の誠実な弟がいた


「何を…するんです、か」

「なんて言ってお前も気持ち良さそうだったけどな」

「〜っ!そ、それはっ…兄さんがっ」


さっきのことを思い出しているのだろうか、ヒューバートの顔は瞬時に真っ赤になった


「まあいいけどな。…続き、やろうか」


弟の耳元でそう囁くなり、脱がし損ねた服のボタンに手をかけた





今夜は、蒼い花を堪能することにしよう

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